『こみっく☆すたじお』 此ノ木よしる著

こみっく☆すたじお(1) (ヤングマガジンコミックス)

先日、『さくら荘のペットな彼女』というライトノベルを読んで、つまらなくて凹んだのですが、僕には珍しく目的もなく衝動で漫画を買って散財。買いたいマンガない時に、枠を広げる時に行う時の行動なので、面白い率は非常に下がるですが、、、、おこづかいも少ないのにこんなことする時は、仕事のストレスと気力がなえている時に、逃避なんで、やるしかない!とけっこう買いました。これなんで手に取ったか、、ちょっとわからなかったんですが、これは当たりでしたねー。というかね、発想とか設定って『さくら荘のペットな彼女』とまったく同じで、ようは「落ちモノ」系統なんですよね、何のとりえもない主人公に、凄いかわいい女の子と関わるシュチュエーションがやってくるという、まぇねぇな!そんなんのっていうご都合主義のパターンです。もちろん男の子は、いつだってこういうシュチュエーションに憧れている(当社推定90%・中には変態もいるので・・・)もんで、仕事に疲れ、、、というか現実に疲れると、こういうもんで、なんか気分を癒してあげたくなるもんなんですよ。だからそういう設定「自体」をバカにする気には僕にはありません。そりゃーだって、人生30年以上生きてて、妻も子もいても、空からかわいい女の子が降って来るとかいうパターンには、妄想が膨らんでしたがありません。しょうがないですよね。だって男の子だもん。けどね、、、やっぱり、同じ設定でも「意匠」というか・・・どんなガジェットに支えられているかとか、その妄想の強度の変態さ!とかによって、そのレベルや質感は凄く変わるんですよね。この設定も、こんな無能なアシスタントは売れっ子の漫画家がやとうわけねーじゃんという「大前提の嘘」は、いろいろ思うところはあるんですが、でもね、そういうのは、したがないんですよ、だってそういう「お約束」だから。ちなみにこの「お約束」を超えられない人は、職業としてはやれる可能性はないではないですが、クリエイターとしては、大成しません。まず間違いなく(←きびしぃーいいきっている)。「お約束」を超える、というのは、なにもメタ的にその設定を変えるとか、それ以上の凄い脚本を考えるとか、そういうことを言っているわけではありません。たとえば、『乙嫁語り』の森薫さんは、僕から見ると、メイドが好き!とか、中央アジアの民族衣装が好き!とか、そういう「コア(=その人の本質となるもの)」を除けば、ほんと普通に淡々と物語を作るだけで、その物語にはほとんどひねりがない普通のものです。脚本だけいえば、何が面白いの?ぐらいのもんです。けど、このメイドが好き!!!とかいうレベルがほぼ常軌を逸ししている(笑)のが、めちゃめちゃ伝わってくるんですよ。濃さが!強度が!メータふりきれているもの。そして、ただその濃さが純度を保って出てくるの「ではなく」て、ちゃんと沢山の人にわかるような簡便さや、美しさ(=絵のキレイさなどね)のフィルターを通してマニアックに出さない気配りが凄くされている。・・・・すると、何の変哲もない設定のよくある話に「凄まじい強度」が加わることで、胸をしめつけるるようないい物語に変わってしまうんです。なにかしらの狂気がなければ、クリエイターってのは、ダメなんだなーと思わせる感じです。ぜんぜん、、、『こみっく☆すたじお』の話にならないな。いや、そこまで素晴らしい出来ではないんですが、、、、いやねぇもーいちこせんせいが、かわいくて仕方がないんだな、これが。こういうのがあっただけで、ぐっと話が引き込まれる。和田依子さんの『少年式少女』の評でも書いたんだけれども、「一部がいいだけ」では、たしかに面白いんだが、アイディア勝負に終わってしまって、その作品単体としては読み続けたいし買うんだけど、その作者の本を次から買うかと言えばNOになってしまう。アイディア勝負は、「その人でなくてもいい」からなんですよね。『少年式少女』も、そういう意味では、一部のいい点だけで、あっこの作者は行ける!とまでは思わされなかったなー。この此ノ木よしるさんも、いちこ先生の微妙な距離感やテレなんかが、めちゃくちゃうまいので、おしいとは思うんだけど、、、やっぱり全体の脚本が弱い。というのは、やっぱりね、いくらなんでも、こんな無能なアシスタントをプロは雇わないって(苦笑)。それはご都合主義にしてもちょっとスタート地点がひどすぎる。「何もない主人公」が、頑張っていく話にするには、「なにもない」設定が必要なのかもしれないが、それって、あまりに理由がなさ過ぎてちょっとゲンナリしてしまう。いちこというキャラクターの魅力とその心理のかきわけの上手さで、そういうのがすべて消え去るくらいに面白いけれども、そういうのって「最初の面白さ」で消えるので、2巻以降は、それではあまり通じないし、オチに持っていくのが難しくなるんだよなー。そうすると、「一時の癒しの消費物で名も知れず消えていく」モノになってしまう。何がそうでないものとそういうものの違いを開けるのかは僕にはわからんが・・・。まぁデヴュー作を見ると、ほぼわかってしまうんだよなーこれって。



・・・いや、こんなことが書きたいんじゃなくって、年上の、ちっちゃい女の子っていいよね!っていう話がしたかっただけだし、種島ぽぷらちゃんを思い出してただけなんだよ、ずっと。。。。なんで、僕はこう益体もないことばかり考えるんだろう。。。

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