2022年2月24日(木)ロシアによるウクライナ侵攻(1)

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さすがに、これは歴史的イベントだろうと思い、コツコツ調べている。上の最初の1時間半は、ウクライナ動向についてLDさんと話したもの。今の気分が残っている。2014年3月のロシアによるクリミア併合以来、このような国境線の変更は、WW2以来の大きな出来事で、世界の歴史の流れを大きく変えることだと考えてきたので、これでダメ押し。新しい世界に突入したのだろうと思う。


2022年2月24日の木曜日にロシアがウクライナに侵攻開始。

僕はスタンスとしては、WW2以降の国境線を武力によって変えないという国際的なコモンセンスは、絶対だと思っているので、日本人としては全面否定以外はないと思っている。しかし、ロシアの「安全保障への恐怖から来る物語」は、日本も似ているのでこれを止める方法は、なかったかもしれないとは思う。とはいえ、専門家であるわけでもないし、利害関係もほとんどないので、こういう大規模イベントは、語彙と歴史を見る皮膚感覚を養う好機だと思っている。なので、こつこつ事態をモニターしてみている。

■小泉悠さん

こういう時に、基礎的な時代を理解するためには、自分が好きなかつ信頼できるソースをコツコツ追うのがいい。東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉さんをそもロシアウォッチャーとして信頼してずっと追っているので、この人を追っている。過去のインタヴューで、北方領土問題について、めちゃめちゃわかりやすく説明していて、重層した複雑な歴史で簡単には理解できないと思っていたことが、スッと理解できて、自分の頭と言葉で積み上げている人はこんなにわかりやすく物事が説明できるのか、と驚いた。下記の著作も読んでいるしね。本では、ウクライナバルト三国などの国境問題もおっていて、全部ひっくるめると、ロシアの全体の戦略というか感覚がよく伝わってきて、本当に良かった。とにかく明快でわかりやすいのに、決してごまかしていない自分の言葉で練られ考えられた深みを感じる。

特に、下の5分のダイジェストは、いまが一体「何がイシュー」なのかが端的に詰まっている。

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歴史的には、ホロドモールによるロシアへの恐怖が深く、オレンジ革命、マイダン革命とステップを踏んでいるので、ここで市民によるゲリラ戦による徹底抗戦はわからなくない流れ。日本のWW2での本土決戦を、ガチでやっているということだ。

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本を読むと、目の前の現象だけではなく、「主権」の概念が、西側、自由主義陣営、西ヨーロッパの1648年のウェストファリア条約(Peace of Westphalia)を基礎とする考え方とまるで違うという原則と理論から説明していて、なるほどと唸ったのを覚えている。中国の歴史的背景から、冊封体制朝貢体制を知らなければ、「見ている世界が違う」「異なるゲームで交渉している」ことがわからなくて、何が問題になっているのかまるで理解できないままディスコミュニケーションに陥るものなのだなぁと、いろいろ本を読むうちにクリアーになっていったのだが、その時と同じようなセンスオブワンダーを感じた。というか、むしろ、世界の大国として独自で動けるプレイヤーである中国やロシアがまるでウェストファリア的な理解と異なる主権、外交理解をしているということは、人類史におけるコモンセンスが、決して、それが共通ではないこと示していて、全然わかっていないで歴史書とかを読んでいたのだなぁ、といやはや読んでいて勉強になった。

これ2019年の時の本の感想だけれども、この主権の概念の違いを、前提にしたいと、プーチン大統領が何を言っているのかが、ほとんどわからないと思う。

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■本土決戦のいま

さて、この記事を書いているのは、2/28でたぶんウクライナとロシアの会談は、破談していると思う。そうすると、ロシアの侵攻に対して、ウクライナによる本土決戦が継続くしているはず。かなりの軍事大国ウクライナといえども、実際のところは、ロシア軍に勝てるはずもない。じわじわと、キエフ(最近キーフと書くよね)に進軍していて、いつかは落ちると思う。基本的に、時間がたてば、ウクライナ、ロシアともに良い点と悪い点がある。実際軍事的には、どんなに抵抗しようと、占領地は増える。ロシアのアドバンテージは増えていく。

しかしながら、ウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキー大統領(ユダヤウクライナ人)は、この状態で、徹底抗戦を叫んで、それが機能している。もともととても好戦的で能力のないコメディアン上がりとの揶揄が多かった人だけど、時を得た感じがする。民主主義の生態が、まがりなりにも、自由を求めて市民を含めて本土決戦、徹底抗戦を叫ぶとなると、国際社会、とりわけアメリカ、西ヨーロッパサイドの支持が大きくなっていくのは必定。


国際社会の同情、そしてアクションを引き出す、「時間稼ぎ」が、本土決戦の効果としてある。



そしてEU加盟申請など、打てる手をガンガンうってきている。これが、どこに着地点を見出すか、が今注目されている。

映画などは、ほとんどプロパガンダで、一方の立場の物語に過ぎないことを自覚しつつも、たぶん実際にほとんど知識がないことを考えれば、下記の2つの映画はおすすめ。


■ロシアの考え方

ちなみに、ロシアの安全保障への恐怖を理解するのに、この解説は、うまいと思った。ロシアが、どれだけ安全保障的に被害者意識の物語を積み上げているかは、実際の被害の歴史をベースに語らないとだめだと思うので。

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■CNN10

僕は家族で、毎日CNN10を見ているので、この時のやつも毎日追っている。将来の参考資料として。

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チャールストン&サバンナ+フロリダ・キーウェスト&エヴァーグレース国立公園(4) チャールストンダウンタウンを散歩

■朝飯はグリッツ
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ミドルトンプレイスでの朝食は、なかなか美味しかった。普通のブレックファストでしたが、味がちゃんとしている。眺めがとても素敵。雨模様なのが残念ではあるが、それもまた風情。ちなみに、南部の名物料理ということで、grits(グリッツ)ですね。とうもろこしでできたお粥のようなものらしいです。最初なんだろう?っ思いながら食べたら、だいぶしょっぱい。語源は「粗末な食事」を意味するGryttにあるそうです。これもうほとんどお粥だと思うんですよね。かなりしょっぱかったけど、チーズとか色んなので味付けは変えられるんだろうと思う。

■ミドルトンの屋敷の中のツアーへ

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このツアーが最高でした。雨が降っていて、他に誰もいなくて、朝一番の回は、うちの家族のみだったので、ひたすら僕も子供たちも質問しまくって、なかなかの充実したツアーでした。財団に管理が移ったとはいえ、ミドルトン一族の個人のものなので、写真撮影はできなとのことで、残念でした。

驚きなのは、60-70年代くらいまでこの屋敷は、ミドルトン家の人が住んでいたっていう話。もう金持ちの桁が違いすぎて、やはり「裕福さ」って世代を超えて残るんだなぁって。このレベルの金持ちは、もう世襲貴族ですよね。そんなけた外れの財産を1-2代で作ったことを思うと、奴隷制度と交易の利潤の凄まじさを感じで背中が寒くなりました。もう一つは、南北戦争で南軍が負けた後、北軍がこのプランテーションになだれ込んできたときに、ほとんどの建物がヤンキー(Yankee)によって焼き討ちにあって焼失しましたという話。『風と共に去りぬ』(Gone with the Wind)で、アトランタ操車場の弾薬庫の炎上を強く連想した。様々なところで、ヤンキーがきたときに、この辺はすべて焼き討ちされたなどの階層が出てくるので、南北戦争のあとは深いんだ強く印象に残りました。

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それと、うちの子供たちは、現在ミドルスクールのエイスグレード(8年生)なのですが、歴史でアメリカ独立革命の部分を詳細に(なんでそこだけ!っていくくらい細かい)習っているのですが、出てくる名前が、初代コーンウォリス侯爵チャールズ・コーンウォリス(Charles Cornwallis)の降伏の話などが出てきて、めちゃ盛り上がっていました。子供たちも、こういう歴史の話が分かるようになったんだなぁとしみじみしました。コーンウォリスの降伏は、ヴァージニア州ヨークタウンの戦いですね。この辺は、アメリカの神話の基礎みたいなものなので、個々の有名な登場人物や地名は覚えていると、つながって胸がドキドキします。

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後、ちょっと驚きだったのが、ミドルトン一族に仕えた人たち関係者が、「同窓会」?見たいのをやっているんですよね。なるほど、なるほど、そういうのはあるだろうね、数百年続く貴族に使えているわけだから。ところが、驚いたのは、写真に「なんとか・ミドルトン」と書いてあるんですが、その人が、どう見ても黒人なんですよ。あ、これは、よく奴隷を白人の主人がレイプして子供を産ませていたりするケースが(家畜として当時扱っているんですよ…ひどすぎる)、それかなぁ?って思ったんですよね。有名な建国の父トーマス・ジェファーソンの愛人、奴隷、サリー・ヘミングスの話も思い出させます。

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でも、聞いてみたらどうも違うみたいなんですよね。当時、黒人奴隷が解放されたときに、名字がなかったんで、適当に名前をつけたんらしいんですよね。日本でも、明治維新で四民平等になったときに、適当に名字をつけたので、田んぼの中に住んでいるで田中さんという名前が多くなったとか、本当かどうか知りませんが、どういう話を聞いたことがあります。それと同じように、当時つかえていた主人の家の名前を使うケースがよくあったとか。それで面白いなと思ったのは、同窓会って、使用人たちなど関係者が集まって仲良くしているというのが書いてあって、、、、まぁ裏の背景はわからないのですが、『片喰と黄金』というマンガで、ゴールドラッシュのカリフォルニアにアイルランドから食い詰めていく物語があるんですが、異様に奴隷にやさしくしている白人農園主の矛盾を描いたエピソードがあったんですが、あそこなどは、そういうのがあってもおかしくないよなって、ちょっと不思議な感じがしました。ある程度、自立して中産階級になって、「過去の歴史を距離を置いてみよう」と思ったら、自分のルーツについて、いろいろ調べたり話し合ったりして、仲良くなれることもありうるよなぁと、驚きました。本当は豊かになって自立できたら、対等になれるはずなんで、すべてがキャンセルカルチャーなどの対決を煽る姿勢だけに収斂するのは、かなり社会の持続性を失わせるよなぁと思います。

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とはいえ、上のベクトルとは逆ですが、奴隷の悲惨さを扱った作品としては、この『マンディンゴ』(Mandingo)1975年が、一番残酷で苦しいです。なので、これを見ておくのをお勧めします。広島の原爆の記念館見る前に『はだしのゲン』読んでおくような感じです。どの辺まで究極に言ったら残酷でやばいかというのは抑えておきたいなと思います。まぁ、この凄みのある地獄の歴史を、前提にして離さないと、軽々しくなっちゃいますよね。

ダウンタウン
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この日は雨なので、本当は、どこかのプランテーションを見学するつもりだったけど、諦めてダウンタウンへ。雨がひどければ、ランチだけで良いと割り切っていました。降水確率100%だったので、そもそももう無理だなって。けれども、小雨になって、歩くのは、問題なかった。しっかし、12月ということで、異様に寒かった。しんどくなって、近くのスーパーマーケットで、もこもこフリースを買って、寒さを凌いでいました。いやーカリフォルニアも寒かったけど、こんな南部でもかなり寒いんだなってて驚いた。とりあえず、市の中の公営駐車場(駐車場はいろいろある)において、ふらふら家族で散歩。

■Poogans's Porchで昼食

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南部料理をトライということで、妻が探してくれたお店に。FRIED GREEN TOMATOEが有名ということで、とりあえず有名どころを注文。

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FRIED GREEN TOMATOES
SHE-CRAB SOUP seasoned Blue Crab, Chives
POOGAN'S MONTE CRISTO
Smoked Ham, Swiss Cheese, Maple Syrup
Seasoned Blue Crab, Chives

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全体的に、悪くないって感じの評価。ただし、めちゃくちゃおいしいかというと、、、、。この後、サバンナでいったお店は、これアメリカ生活の中で、人生で一番うまいんじゃないか!と子供たちが叫んでたくらいおいしかったので、それと比較すると、うーむ、まぁまぁかな。

■街を歩く
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息子が大きい教会を見てみたい、というので、教会に。なんというか、自分は、大学生ぐらいの頃に、ヨーロッパを旅行しまくって、飽き飽きするほどみているので、それほど感銘を受けなかったんだが、子供たちはとても感心していたみたい。こういうゴシックとまでは行かないか、古いタイプの教会を見ると、ああ、ヨーロッパと地続きなんだなぁって感心する。

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カリフォルニアで、娘の保育園とか、色々な教会に遊びに行ったけど、基本的には近代建築なモダンなものが多くて、こういう歴史を感じることは全くなかったので、ああ東海岸は、やっぱり大英帝国の一部で、ヨーロッパとのつながりが深いのだなぁとしみじみしてする。Wayfares Chapel(ガラスの教会)とかね。ああいうのと比べると、めちゃヨーロッパの香りが凄いする。

Homepage · Wayfarers Chapel

こういうふうに思うのも、アメリカの東海岸をたくさん旅行して、そもそも若いときのヨーロッパの経験があるからなのかもしれない。子供たちはどうこの空間のつながりみたいなものを感じているのかは、わからないけど。やはり、旅はいい。

■市庁舎
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雨が降っているので、教会を見たら、もう帰ろうって話になっていました。下の娘が、まだ8歳なので、「せっかく来たのだから!」と、盛りだくさんにすると、まぁ、自分がアラフィフで体力が落ちたのもあって、後に疲労が残るので、無理はしないとなっているので、だいぶ淡白な感じになっている。ああ、そういう意味では、老いはきているのかもしれないなぁ。40代後半で老いなんて、笑っちゃうかも知れないけれども、、、、僕はバックパッカーが好きで、大学時代本当に世界中色々回ったけれども、当時の一番興奮して面白かったのは、地図もガイドも持たず、ふらっと行った都市で1週間くらい、毎日毎日、街を歩き回ることでした。地図は持っていかないけれども、もちろん現地調達はしますが(笑)。そうして、現地に地図を片手に、歩きまわっていると3−4日すると、頭の中に、身体の中に都市の構造や機能みたいなものが、うっすら出来上がってくるんですよね。これは、特に古い街だと、がちっと身体の中に構造がわかってくる。でもあの身体の中に、僕は「身体地理感覚」と呼んでいましたが、出来上がってくるのは、一人で黙々と、物凄い距離を歩いて、ホテルと駅や重要ポイントの体感距離が出来上がらないと感じれません。でも、、、それは、40代の前半で限界になりましたね。一つには、子供が小さかったので、あまり詰め込むと、数時間は抱っこしたりおんぶしないと、まわれないんですね。30代の後半くらいは、楽勝でしたが、40になるともう無理。ああ、あのバックパッカーのような都市散策は、もうできないのだろうなぁと少し残念い思います。まぁ、とはいえ、8歳にもなると、流石に抱っこをせがまなくなりますので、今回は意外に歩けた。全く無目的で、パイナップルの噴水でも見れれば十分と思っていたんですが、通り道に市庁舎があって、偶然、せっかくだから見てみようよ、ということで入りました。

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というくらい、偶然で適当だった上に、家族には、市庁舎なんかどこも同じでしょう、見ても仕方がないとごねられたんですが(笑)。チャールストンの南部の歴史の香りは、確かにプランテーションを見たので、僕の中ではかなり満足してしまったのですが、ダウンタウンも、なんか一つくらいはみてみようよって、説得して入りました。入口は、大したことなくて、みてもしょうがないじゃんと、みんなぶーぶー。


が、今回の旅行でベストとも言えるほど、素晴らしかったんです。この地下のダンジョンツアーが。そもそも、ダンジョンツーアーがあることすら知らず、下に行ったら偶然やっていただけでしたが。これは、自分「持っている」なって思いました。


■市庁舎ダンジョンツアー

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これは、市庁舎の地下に、地下室があって、そこは長い歴史があって、元々は両替所として使われていたり、イギリス軍がせめてチャールストンが占領された時には、犯罪者の牢獄にされたらしい。なのに、イギリス軍占領時に、この地下室の奥に弾薬を隠してあったりと、南部の歴史が色濃く反映しているんですね。それで、そのエピソードを、キュレイターなのか、ガイドの人が、説明してくれるんです。ディズニーランドのホーンテッドマンションみたいな感じって思えばいいんですが、これが最高でした。

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Old Exchange and Provost Dungeon

http://www.oldexchange.org/highlights

下記のサムター要塞の背景で説明したのですが、このあたりの歴史をちゃんと知っていると、いろいろなツアーの解説がどんどん重なっていってつながっていくので、めちゃくちゃ歴史が体感できます。

petronius.hatenablog.com


■市庁舎2階
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■奴隷市場

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globe.asahi.com

ナサニエル邸宅

Nathaniel-Russell House Museum Tours & Tickets | Charleston, SC

■パイナップル噴水(Pineapple Fountain)
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1990年のハリケーンヒューゴの後に建てられたものらしいですが、いや、うん、なんというか、ただの噴水だよね(笑)って感じでした。この近くに住んでいる人が見に来るにはよいランドマークスポットだとは思いますが、観光でわざわざ行くほどのものではないかなぁ。だってほら、チャールストンって歴史の町なので、やはり歴史をたどりたいところですよね。

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チャールストンからサヴァンナに向かう途中。約二時間のドライブ。ちょっと雨。州間高速道路95号線(Interstate 95、I-95)をまっすぐ。東海岸の大西洋を左手に。I95は、メイン州とフロリダを結ぶ東海岸の大動脈。

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僕は、カリフォルニアのオレンジカウンティに住んでいるし、日本でも東京や神奈川に住んでいるので、基本見る海って太平洋なんですよね。大西洋ってなじみが薄い。それを左手にずっと見ながらいると、なんだか、ふぉぉぉぉっえ感じがします。『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』でも『ヴィンランド・サガ』『ダンピアのおいしい冒険』でもなんでもいいですが、あそこで描かれるカリブ海とか大西洋って、見たこともない、どっか遠いところにあるファンタジーって感じだったんですが、こうやって眺めながら運転すると、そうかぁ、本当にあるんだなぁと感慨深い。「見なければわからない」とは言わないけれども、実際に見ると様々なものが有機的に心や体の中で結びつくので、異なる角度から見えるようになって、世界を甘受する力が少し上がるような気がする。あくまで気だけど(笑)。


アメリカの旅の醍醐味は--------アメリカに限らないかもしれないけれども、運転することだと思っている。アメリカ合衆国の特徴的な「差異」というのは、とにかく「空間の巨大さという大陸的なもの」が、一番にあがると思っている。とりわけ、狭い列島の繊細な空間に居住する日本人には、「この大陸的な感覚」「この風景の変化」というのが、ほとんど体感的に理解できない。これを体感するには、長距離(まわりのアメリカ人にとってはたぶんロスとサンフランシスコの運転をめちゃくちゃ長いとは思わない感じなんだよね・・・・)を運転してみると、よくよくわかるようになるのだ。僕は、西海岸と東海岸は、アメリカ合衆国に限れば、上から下まですべて運転したので、これは自分的にはラッキーだと思っている。内陸部も、それなりに運転しているので、いまアメリカの映画やドラマを見ると、ワンシーンのカットで、どこらへんか、どのような風景が続くかというのが、体感的にわかる。それによって、わかるものが全く違うので、とてもうれしい。

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先日、ジェーン・カンピオン監督、ベネディクト・カンバーバッチ主演の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(The Power of the Dog)(2021)を見たんですが、1920年代のモンタナ州なんですよね。ここは、イエローストーン国立公園をいったときにかなりの距離を運転したんですが、映画のカットでは、ほんの何十秒や数分のカットでも、「その背後にどれだけの距離感を移動する日常があるか」ということが体感的に理解できないと、ここに住む人の身体感覚がわからない。まぁ僕は、映画やマンガなど物語が大好きで、それにくるまれて生涯を過ごしたいなと思っているので、「より物語を深く楽しむために」何が必要か?っていつも考えながら生きています。

■サバンナへ

Interstate 95を真っ直ぐ、南へ。低地湿地帯。沼地ばかり。ここら辺が、独立戦争当時のジェントリーたちで、大金持ちばかりって、信じられない。ちょっとチャールストンから山の方に行くと、もう原生林的など田舎感じ。すでにアメリカの東海岸は、大工業地帯の大都市がある地帯なのにもかかわらず、ちょっと来るまで郊外に行くと、鬱蒼とした森や低湿地帯が延々と続くさまは、日本では考えられない。日本は、名古屋の灌漑や、東京の江戸湾埋め立てなど、数百年、数千年かけて、人力で人が住める空間を、余すところなく利用しようとしているので、大都市のすぐ横に、そういう空き地みたいのは残らないのだ。でもアメリカは、たぶん、手を入れれば使える土地であっても、そんな手間、暇、金をかける余裕があれば、フロンティアなどさらに西の奥地に向かえばいいじゃないかって感じになって、最高においしい立地を使い尽くしたら、直ぐに奥地に開発が向かってしまったんだろうと思う。

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オレンジカウンティでは、シェブロンはよく見るものの、bp(旧ブリティッシュ・ペトロリアム :The British Petroleum Company plc)は、ほとんど見ないので、なんとなくうれしくなって写真を撮ってみる。つーかさ!、3.5ドルですよ!。オレンジカウンティでは、バイデン政権の政策とコロナによるサプライチェーンの分断でインフレが進んで、既に5ドルですから。カリフォルニアって、ほんとうにガソリン高いよなってしみじみ思う。

チャールストン&サバンナ+フロリダ・キーウェスト&エヴァーグレース国立公園(3)-2ミドルトンプレイス・プランテーション

■雨の中散策

雨でしたが、とりあえず正面玄関をさがして、次の日の邸宅内部のツアーの申し込みに。ツアー自体は、早い者勝ちだったので、予約できんなせんでしたが。ミドルトンプレイスを、散策。ちょっと引くくらい広くて美しい。サウスカロライナプランテーションと考えると、これが巨大な奴隷のシステム取引の富とと労働と証と考えると、12years slave やハリエットの映画を連想しちゃって、うわちやぁ〜という気になる。この巨大庭園、個人的には、浜離宮をなんだかとても連想した。人力で作られている、巨大な権力と富による庭園だからだろうか。

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学生の頃に行った、イギリス郊外の貴族の庭園を物凄く連想する。ヴァージニアのジョージワシントンのプランテーションのマウントバーノンも思い出す。これらか、イギリス帝国の一部で、かつイギリス貴族、もしくは、ジェントリーによって支配されていた植民地なんだって、強く連想する。彼らの意識には、明らかにイギリス帝国臣民、ジェントリーの生活様式があったんだろうなーってこれだけまわると、ほんとうにわかってくる。イギリスとのつながり深すぎだ。

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What is GENTRY? What does GENTRY mean? GENTRY meaning & definition - How to pronounce GENTRY - YouTube

ジェントリ - Wikipedia



浜離宮やイギリス庭園、マウントバーノンそれに

バージニア州アレクサンドリア(ここはシーフードがおいしいです!)近くのマウントバーノン(Mount Vernon)は、アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンプランテーションで、ほんと生涯ここで彼は人生を過ごしています。また彼の自伝を読むと、彼の自己認識が、「イギリス帝国臣民」であり「農園を経営する農園経営者」として自分を定義づけていて、新国家の基礎も、常にこの中産階級以上の独立自営農民による民主政体を前提としていました。建物は、新古典主義ジョージア調建築様式であり、ポトマック川の堤にあります。HPの遠景の動画を見るとわかりますが、凄い高台にポトマックリバーを望む農園主の邸宅で、この当時のヴァージニアの富裕さがどれほどのものかがうかがえます。しかし同時にワシントンの伝記を読むと、マウントバーノンのレベルの生活では、たぶん状富裕層の中では、かなり下の方の、生活するのにだいぶ才能と経営能力が必要な、いってみればカツカツな感じなんです。実際に行って、マウントバーノンを、歩き回ってください。「これ!!!!」で、ヴァージニアの富裕農民としては、貧しい方なんですよ・・・・。当時の農園主の巨大な権力とと見に、目がくらくらします。ただ中規模の農園を軌道に乗せようとしていたため、日本近世や近代の徳川幕府の庄屋や名主のような豪農富裕農民(渋沢栄一の家のような農業生産だけではなく技術者でも商社でもある総合の商売人経営者のイメージ)の当時の苦労が歩いていると随所に感じられます。新国家アメリカという共和国を軌道に乗せるためには、それを支える独立自営農民の富裕層が、「自分で独立独歩で食べていける経営モデル」を示さなければならなかったので、明らかにワシントンはロールモデルとしての農園経営を意識しています。なので原材料から、何とか付加価値をつけた産業を生み出して、イギリスの植民血(=原材料供給拠点)という性格から脱出しようと苦悩しています。
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なので当時のイギリスの新技術を次々に試して実験しています。綿花ではなく衣服を作る、デザインをする、色を染めるなどなど、付加価値をつけてよりサプライチェーン下流に行こうと四苦八苦です。「この感覚」「自己認識」によって南部の農園・プランテーションが経営されていることをわかっていると、この地域が大英帝国の「一部」であることが、まざまざとわかってきます。ここでいう近代的な新技術は、すべてヨーロッパからイギリスを通して(時にはフランスから直接)はいってきますので、子供をイギリスに留学させて人脈と学位をとるのは常識でした。また、農作物の「アメリカ国内での自給自足」と同時に「大英帝国のグローバルサプライチェーンの一部としての南部の農作物や綿花などの原材料」の利益がせめぎあっているのが、ワシントンの自伝の農園の財務表から読み取れます。

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www.mountvernon.org

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バージニア州シャーロッツビルにあるトーマス・ジェファーソンの邸宅Monticello(モンティチェロ)、これは世界遺産ですね、とも比較してみたいです。

https://www.monticello.org/

https://www.monticello.org/sites/default/files/inline-pdfs/FLBJapan.pdf

なんでヴァージニアの建国の父であるジョージ・ワシントンGeorge Washington 1732- 1799)とトーマス・ジェファーソン( Thomas Jefferson 1743-1826)の名前を出したかというと、ヘンリー・ミドルトン(Henry Middleton:1717年 - 1784年)、アーサー・ミドルトン(Arthur Middleton、1742年-1787)の親子は、この年代にドンピシャ同じで、同じ時空間に生きていた人だからです。アーサー・ミドルトンは、独立宣言にサインした「建国の父」ですよね。また同時に、彼がイギリスで教育を受けて学位をとっているのも注目です。アメリカ生まれの大金持ちは、「イギリス帝国臣民」としてのキャリアと人脈のために、高等教育はイギリスに留学のするのが当たり前だったのです。ミドルトンプレイスも、マウントバーノン、モンティチェロをバラバラに行くのではなく、一つの同じ時代の様式と文明として眺める姿勢があると、とても面白い。


■イギリスの宮廷社会との連続性を感じてみる大英帝国の一部としてのチャールストンの大プランテーション

イギリスの人の知り合いが、最近旅行に行ったそうなんですが、とても見知った風景で、ほっとすると言っていたので、へーと思ったんですよ。軽い感じだったんだけど、え?なんで、ほっとするのって、ひっかかっていて。散歩していて、たしかにイギリスの庭園を凄く連想するんですよね。学生のころ観光でいったロンドンの郊外の庭園とかを凄く連想する。やっぱり英帝国の一部、領土してみなとダメな空間なんだなぁとしみじみ思いました。

miyearnzzlabo.com

ちょっとずれるんですが、最近見た映画で、イギリス映画の『ベル ある伯爵令嬢の恋(BELLE)』を思い出しました。これは、イギリスで黒人奴隷制度がなくなるきっかけになった最高裁判事にあたるマンスフィールド伯爵の歴史的事件に関連する物語です。サマセット裁判とゾング号事件のことなんですが、細かいことは記事を読むかググってもらえればいいのですが、ベルってこの映画の主人公は実在の人なんですが、黒人なんですよね。でも、ずーとっ隠されててわからなかったんですが、実は、マンスフィールド伯爵家で育っているんですよね。しかも貴族の女性として。え?なんで?というのがずっとわからなかったんです。この絵の人です。普通、イギリス貴族の家の絵画にでてくる黒人は、奴隷で召使とかなんですが、この人、どうも真ん中の白人の少女と姉妹として育っているのですよね。え?なんで?という物語です。まぁ、ぶちゃけるマンスフィールド伯爵のマンスフィールドの甥っ子の娘なんですが、それを引き取って貴族女性として育てるんですね。ほとんど娘として、凄く愛して育てたようなのですが、そのマンスフィールド最高裁判事が、イギリスにおける黒人奴隷を認め否判決を出していくんですね。これ、ヨーロッパ世界における黒人奴隷の終止符への話と絡むので、ぜひ覚えておいて損はない歴史的実です。それ以上にロマンチックですよね。このベルという少女は、かなり優秀だったようで、マンスフィールド伯爵の私設秘書のようなものをして、相当かかわっているようなんですよ。


まあ、ちょっと脇道ですが、そんなこんなんを、いろいろ連想して、ほーと思いながら、子供たちと散歩していました。娘もちょうど映画をもいたばかりで、その話を一緒にしながら。


ちなみに、数々の映画の舞台になったHatfield House (ハットフィールド・ハウス)の写真とぜひとも比べてみてください。

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gardenstory.jp


www.mapple.net

浜離宮
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同じように浜離宮もちょっと思い出したんですよね。僕はここが好きで、銀座で働いていた時に、よくお昼に一人で散歩していたのですが、本当に素晴らしい庭園で。「恩賜公園」ですから、天皇陛下からのものですね。これはもともと徳川将軍家の庭園なのですが、潮の満ち引きとかもせっ益されている壮麗な庭園で、これを見ると、徳川将軍家の巨大な財力権力を実感できます。もちろんイギリス的なものとはテイストが違うのですが、なぜこれを連想したかというと、「ほぼ同じ時期に」、「人力」で公園を作ろうとすると、とてもに似通ったテイストになるんだ!と驚いたんですよね。

www.ambassadors-japan.com

浜離宮恩賜庭園|公園へ行こう!

いやー素晴らしい体験でした。繰り返しますが、コンセプトが、

コンセプトに戻ると、サウスカロライナチャールストン観光のコンセプトは、「プランテーションを経験したい!」でした。さらに奥を紐解けば、ヴィクター・フレミング監督の『風と共に去りぬ』(Gone with the Wind)1939の映画で描かれていた、滅び去ったアメリカ南部という「文明」を見たい!というものです。

ですので、そういう文脈で最高でした。


■ミドルトンプレイス

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マグノリア

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Magnolia Plantation and Gardens | Charleston, SC

■過去の旅行記
コロニアル・ウィリアムズバーグ (Colonial Williamsburg)に行ってきた!
https://petronius.hatenablog.com/entry/20120118/p1

サンディエゴ航空宇宙博物館(SDASM:San Diego Air & Space Museum)と林檎(アップルパイ)の古い町ジュリアン散策
https://petronius.hatenablog.com/entry/2021/11/30/044025

チャールストン&サバンナ+フロリダ・キーウェストエヴァーグレース国立公園(1)
https://petronius.hatenablog.com/entry/2022/01/08/093408

チャールストン&サバンナ+フロリダ・キーウェストエヴァーグレース国立公園(2)空母ヨークタウンとサムター要塞
https://petronius.hatenablog.com/entry/2022/01/10/064317

チャールストン&サバンナ+フロリダ・キーウェストエヴァーグレース国立公園(3)-1 ミドルトンプレイス・プランテーション
https://petronius.hatenablog.com/entry/2022/01/18/123318

チャールストン&サバンナ+フロリダ・キーウェストエヴァーグレース国立公園(3)-2ミドルトンプレイス・プランテーション