カズオイシグロ著 抑制のきいた文章の中に潜む恐怖

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Kazuo Ishiguro

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わたしを離さないでわたしを離さないで
カズオ イシグロ

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評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)

僕のブログは、基本的にネタばれを基本としている。作品を読んだものとして、それを前提にこの文章を書いている。それでいいと思っています。あらすじを知ってから出会う本であっても、名作はやはり名作だし、と思っているので。

ただ、時に、まったくの先入観なしで読んだほうが、その作品世界を耽溺できるという非常に特殊な作品というものがある。例えば、シオドア・スタージョンの『きみの血を』がそうだし、このカズオイシグロの『Never let me go』もそうだ。先入観があると、この作品の「ほんとうの深さ」がわからないかもしれないので、ぜひなんの予備知識もなしで読むことをお勧めする。

カズオイシグロは、ずっと気になっている作家だったのですが、文学といわれるの読むほど最近は、余裕もないし…しかもハードカバーだしなぁ、とか思っていたのですが、すごいっ・・・・読み始めたら、結局一瞬たりともページをめくるのを止められませんでした。凄い破壊力の作品で、いやー見事って思いました。見事な作家ですね。抑制のきいた文章という評価が、最後のあとがきにも、いろいろな書評にまありますが、なんというか・・・この題材を、最後まで、このような文体と抑揚で描き続けるところに、ある種の「凄み」を感じました。この系統の(読んだ人ならばわかる)作品は、僕のような嗜好の本読みには、すぐ「あっ、あの系統のネタなのかな?」と思うのですが、にしても文学者として・・・ブッカー賞の受賞者として名高いカズオイシグロだし、このハードカバーだし・・・というのを見事に裏切りながら、かつ裏切っていない・・・・いや、思わせぶりに書いていますが、凄く読後感が深いです。

もう少ししたら、ネタばれ記事を書くと思いますが、この作品はほんと凄いです。ぜひトライしてみると、いいと僕は思います。

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)きみの血を (ハヤカワ文庫NV)
シオドア スタージョン Theodore Sturgeon 山本 光伸

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