2008年に見たアニメーション作品の講評

僕は、アニメ作品は、２００８年は、『コードギアス・反逆のルルーシュ』『天元突破グレンラガン』『機動戦士ガンダム００』『鉄のラインバレル』『マクロス・フロンティア』『クラウ・ファントム・メモリー』『灰羽同盟』の７つのみなんで、番付をつけることはできません。ちなみに、半分は、０８年の作品ですらないしね。とはいえ、軽く講評を。

『コードギアス・反逆のルルーシュ』　谷口悟朗監督　★★★★★星５マイナスα

いい出来だったなぁ。このレベルの作品は、そうそう出るものじゃない気がする。微妙に、その早すぎる展開が実験的な印象を拭えないので、読後感というか視聴終わった後の、胸に残る度合いが少ない。そういう意味では、リアルタイムでないと高揚感がかなり減少する作品であることは否定できない。ただ深いマクロ設定、ひねくれてリテラシーの高い現代の視聴者を飽きさせないめたレベルでのひねり、キャラクターの存在感の重さ、どれをってもここ数年でも最大級の話題作であったことは間違いない。リアルタイムで見れたことに多謝。特に、いまだに第一期のスザクに感じた王の器については、忘れえない妄想が自分の中には残っている。そういう意味では、二次創作を強く産むような作りでもあったわけで、なんとも不思議な構造をした作品であった。

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『天元突破グレンラガン』今石洋之監督　★★★★★星５つの文句無しのマスターピース

２００７年の作品なのだが、再放送で見ているので、僕にとっては今年の作品。今年見た物語の中でルルーシュと並んで、何て素晴らしいアニメを見れたんだと感慨深い作品。こちらに関しては、文句無し、何一つけなすことなく、傑作と断言できる。また、ある程度時間がたった後の「読後感」的にも、もう一度見たい!と思わせるシンプルな魅力は、複雑な技巧に走るだけ走って魅力が一言では説明しづらいルルーシュと対極をなす。ルルーシュが常にマクロから「全体」を見るような見方をしたのに比較して、どっぷりストレートに感情移入する作品だった。とりわけ、最終一話前のカミナのシーンは、そのシーンを再生するだけで涙が止まらなくなるほど、熱い思いをこの胸に残してくれた。これぞ、アニメーションの中のアニメーションという作品だった。

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『マクロスフロンティア』菊池康仁監督　★★★☆星３つ半プラスα

話も内容ももうすでにほとんど覚えていないのだが、ひたすら、シェリルのかわいさだけが、印象に残っている。特に、最初のデートのシーンと、どっちを選ぶの?とランカと歌うシーンと、自分が失意にある時に防空壕で歌を歌いだすシーンは、何度も瞼の奥でリフレインする。そういう意味では、本当に、ヒロインをどう可愛く見せるか?に特化した作品だった気がする。それと、異様なほど音楽がよかった。ただそれだけのなのだが、その「それだけ」が異様にパワーを持った作品であった。

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『灰羽連盟』ところともかず監督　★★★☆星３つ半プラスα

SomethingOrangeのチャットでどなたかに紹介されたのが印象的で、探して見た作品。なぜか異様に村上春樹を連想させて、ともすれば抽象的すぎてイメージが固定しない村上の春樹のワールドに、確固たる地場を与えてくれそうな感触がって、個人的にはよかった。人を選ぶ作品ではあるが、根気よく見る気と寓話的なものを読み解くのが好きな人にとっては、なかなか見ごたえがある。最後まで何も起こらないし、物語的なドラマツゥルギーはほとんどなにも発動しない。謎もほとんどわからない。が、そこがまた秀逸な作品であった。『ピリオド』の小羽ちゃんとか『ＥＤＥＮ』の病気とか、人の背中に羽が生えるという造形は、、、、うーん、いいよねぇ。ちなみに、主観評価では、物凄く評価が高くなる作品。主観なら、星５つになる。最後まで見ると、宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』なんだな、ということがわかる。

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『機動戦士ガンダム００』水島精二監督　★★★☆星３つ半

正直言って、「ダメなところをがさす」ことで楽しんでいる感が強い作品。ただ酷評するにしては、たぶんかなり人気があるんじゃないかと思う不思議な作品。何気に作りはオーソドックスかつ古典的で質も高いのだよね。ガンダムは、物凄く注目される王道の作品だけあって、こういう大風呂敷を広げた世相を反映させた作品が作れるわけで、そういう意味では凄い「器」というかプラットフォームなんだよねぇ。ただし、二元論の対立を止揚して三面に持っていく以外の出口として、失われた家族を探すことと、アソシエーションが共同体に転化することでマクロの正しさに対抗として「切り捨て」を断罪するという流れを気づかせてくれたことは、非常に個人的に感謝。・・・はっ、ということは、物凄い王道なのかこれ？？？

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『クラウ・ファントム・メモリー』入江泰浩監督　★★★星３つ

ＬＤさんに気楽に見れるやつを、ということで紹介されたもの。とびぬけた感がなかったものの、安心して見れる作品だった。異種であるリナクスを内に取り入れたクラウの物語。異種の存在であるリナクスと人をめぐる物語。ふと思ったのだが、『灰羽連盟』もこれもそうだが、こういう寓話みたいな物語というのは、ストレートにみると、「意味がよくわからない」物語で、そういう意味では村上春樹なんかもそうなんだけど、そういう作品は、「受け手が解釈する意欲」みたいなものがないと、万人には容易にわからない。そこが人を選ぶゆえんなんだが、こういう作品は、語らないでその象徴性を暗喩する形式ってのは、何を持って成功とすると評価すればいいのかなぁ?とか、とか。

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『鉄のラインバレル』日高政光監督　★☆星１つ半

凄い!これほど、酷いレベルの低い脚本、構成は、そうそうお目にかかれない。ガンダム００は、あるレベルを超えていて、たくさんの人に批評されているがゆえに、悪くいわれる面があるが、それはある意味人気のバロメーターでもある。けど、これは、そういうレベルではなく、プロとしてちょっと信じられないレベルの低さだと思う。それだけではなく、主人公の性格が、僕は反吐が出るほど嫌い。ＧＯＮＺＯの映像美や質の高さが、また無駄に使われている例だ。これほど悲惨な作品を見るのは感動的ですらある！！。

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