本日、見つけた。帰りがけに駅で降りて本屋を見てみたら、先日なかったのに1-4巻が置いてあった。いやうれしい。どこへ行ってもないのだ。この前なんか、漫画喫茶にすらなかった・・・(まじかよ)。
4巻まで読了。
3巻が、あまりに素晴らしくて、ちょっと涙ぐむ。
はしくんが前にレビューを書いていた意味が良くわかった。
この丸尾くんという主人公は、なんでも平均点の人で、それをコツコツ努力することで、自分を高めていくタイプの主人公なんだ。
そして、、、、1年間の継続的な努力の成果としての試合・・・・。
彼の努力が、通じなかったことが、はっきり分かるんだよね。
もちろん、相当のところまでは来ているが、勝つほどじゃーない。
主人公の丸尾自身も、自分の平均値で決め手のない能力が分かっていて、
その2か月ほど前にほんとうに才能がある人の前」では、そんな平均値の努力なんかまったく通用しないことが身にしみている。
そして、、、、1年間、自分の許す限りのスケジュールを詰め込んで(これが几帳面なやつで細かく時間管理している(笑))
その結果、それでも才能の前には、役に立たない・・・追いつかない・・・・
と、1年努力した結果として、ノートを見ながら、ふと涙がこぼれるんですね・・・・。
ああ、素晴らしいな、、、と思った。
それは、無理だとあきらめるような負け犬根性ではなく、「やるだけ極限までやって」それでもどうしようもないという壁を見つけ出した、という描写なんですよ。
彼にできる最大限のことをしてしまったんですよ、、、それでもどうにもならないからこそ、涙があふれたんです。
本当に勝つやつってのは、たぶんみんなこう。
勝算は関係なく、やれる極限までやった後に、それでも通じない自分に苦しくて悲しくて、涙が出るんだ・・・・
そして、普通の人はそこで終わる。
けど、その次にが見事に描かれている。
だから、もう正攻法でやっても勝てないのが分かったからこそ、リスクを取りに行くんですね。
ここの描写は見事。
そして、大失敗(笑)。
テニスのマッチポイントで、はじめてきたチャンスに、丸尾君は、今までの安定したスタイルを変えて、完全にギャンブルに出るんです。
相手がサーブを打つ前から(笑)フォアにまわり込むんですね。
そして、外れて大空振り。
いや、勝負事そんなには甘くないって・・・・・
でも違うんです。
そこで、試合の流れは、全く変わってしまうんですね。
それは、相手が想像もできなかったリスクをとったことで、そのリスクをも含めて対処しなければいけなくなったので、相手のミスと動揺を誘うんです。
素晴らしい。
何が素晴らしいかって、4巻でコーチが言っているが
「勝者は疑問を持たなくていい。運を呼び込むだけのことをやってきたってことさ」
というセリフがあるんですが、
やるべきことを極限までやった人には、ある種のチャンスが与えられるんだ、と思うんですよ。
しかも、そのチャンスはとても難しいもの。
リスクをとらずに徹底的に安定と平均を求めてレベルを上げてきた主人公の丸尾君に、
そのすべてを根底から覆す賭け(=ギャンブルに出る)ことを要求するんですよ勝利の女神さまは。
それは、丸尾君が、すべての判断ポイントで、一度も逃げなかった!からこそ起きる奇跡なんですね。
世界は、現実は、わからないものなんだと思います。
最初から、出来ない(論理的には確かにできない)と言っている人には、極限の針の穴を通すようなこうしたレベルアップの瞬間に出会うことなく、時が過ぎゆくのだろう。
いや、物事を習得して、勝ち抜いていく、ということがとてもうまく書かれていて感動した。
この主人公が、ひたすら不器用で生真面目なところに、とてもとても好感が持てます。