残り20日を切った10月24日の現在、激戦州全てで、ほんの1ポイントレベル(統計の誤差範囲)ではあるが、全てトランプさんが優勢になってきている。この辺りが、ハリスさんの失速を各報道期間は報道し始めていますね。まぁその辺の細かい、アップダウンは言っても仕方がなくて、大事なのは、各報道機関が、日本のメディアですら、ちゃんとこの「構造=激戦州の一つ一つの解像度を上げて見ないと意味がない」は意識している。全米の支持率を見ても意味がなくて、激戦州の「それぞれの構造」がどうなっているかを観察しないと、よくわからないことが、報道のパターンに現れてきていますよね。
TBSのこのポッドキャストは好きで毎週聴いています。今回のやつは面白かった。というのは、ミシガン州とペンシルベニア州エリー郡を取材している。特に、ミシガン州が、アラブ系の移民が非常に多い。特に、フォードの本社があって、ここの労働者としてアラブ系がたくさん移民していて、彼らがキャスティングボードを握る構造になってきている。ここで、イスラエル支持に偏っているハリス氏が、非常に嫌われている。この「現象」自体は、よくよく考えると不思議な感じがして、だって、ハリス氏に対して反旗を翻すというのは、イコールトランプさんに利することになる。この場合は、緑の党に投票するとかハリス=バイデン政権のジェノサイド(イスラエルのガザに対する)に与している奴らを「罰する」といっているけれども、それはすなわちトランプさん支持になっていまう。ここで重要なのは、このアラブ系の移民が、フォードなどの自動車関連の労働者であることだろうと思う。こうしたラストベルトの労働者にとっては、トランプさんの労働者を優遇しようとするメッセージは、非常に響く。民主党政権より、共和党政権時代、トランプさんの時代の方が景気が良かったのは、実感として覚えているからだ。自分も、トランプ政権時にアメリカの企業の経営者だったので、よくよくこのことはわかる。まぁ対中国の関税やVISAとかで、死ぬほど振り回されたので、相殺されちゃうが、、、アメリカの中小企業は、インフレを考えると、トランプ時代が絶対良かったと思う人は多いと思う。そうすると、今回は、ハリス、民主党に対して、お灸を据えて、激戦州ミシガンでの民主党への影響力を強める方が、アラブ系のコミュニティとしてはいいという考えもあるのだろう。この辺りは、背景は、ガザ問題の現在を理解していないと、わからないと思うので、下記の本はおすすめ。激戦州のミシガン州では、このアラブ系の移民の支持を獲得しないと勝つのが非常に難しく、この「構造」は、2024年今回の選挙だけではなく、これから2028年の次の大統領選挙でも変わらないので、よく覚えておくと、少しづつアメリカの激戦州の「あり方」の解像度が上がっていこと思います。
それだけじゃなくて、アメリカの大統領選挙のディベートを見ていると、このイスラエルとガザの問題っていうのが、まぁかなり新しいフェーズに入っていることっていうのが、わかってきたんですね。やっぱそれをちゃんとアップデートしてないと言って何が議論されているのかよくわからないなって言うものがありました。いま世界を語るときに、ガザの問題とロシアのウクライナ侵略は、世界のあり方を変えている出来事だと思うので、知っていないと、モノを考えることができなくなると思います。で、もともとアメリカのイスラエル支持っていうのは、鉄板というかもう決定事項みたいなもので、基本的にアメリカはイスラエルを支持するというのが自明の前提でした。この状況下(イランがイスラエルに攻撃したり、民主党の若手はパレスチナ支持で分裂している)でも、ディベート対決などの一言は必ず、アメリカはイスラエルを支持するって感じで発言する。イスラエル支持を言わなければ、物凄い大きな票田を失うので、どうにもならないんですね。これほどの圧力があるのか、とこういう構造になって、よくよく露わになってきた感じがします。これまでは、自明のことすぎて、疑問にすら思わなかったんですが・・・・アメリカの若者の中では、はっきりとガザを、パレスチナを支持する傾向が出てきている。それで目立つようになってきたんですね、この状況で、イスラエル支持一辺倒のアメリカの不自然さが。実際に民主党の若手の中では、まぁ最左派になると思うんですけども、これがもうほんとに許せないと、パレスチナの、ガザの側に立つと言うふうに考える若者がたくさん増えてきているので、民主党の大統領選びに強く影響している。これはアメリカのせいでの構造の中ではとても画期的なことで、やっぱりこれを知るために、一体何が違っているのかというのを知らなきゃならないって言うふうに思った次第です。
オクトーバーサプライズというほどのものではないけど、もう最後の地上戦の個別訪問が勝負になっているので、ひたすら話題作りばかりが目立つ。あ、でも、ハリスさんのFOXのインタビューは良かった。
10月20日は、ハリスさん60歳の誕生日。
Happy Birthday, Vice President Harris! pic.twitter.com/Jd5H8Z7Xhu
— The White House (@WhiteHouse) October 20, 2024
トランプさんが、ナチスの将軍の話がリークされたり、マクドナルドでポテトをあげたり(笑)。それにしても、ほんとうにエンターテイナーなんだよなーこの人。
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 21, 2024
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 20, 2024
食事のルーティーンにビッグマックを組み込んでいて、それどころか訪問者への食事としてマクドナルドを振る舞うこともあり、そして既にマックのCMに出ているマジモンのマクドナルド強火勢なので、庶民派演出というよりは鉄オタの石破首相が鉄道運転士体験してる感じと評する方が適切では。 https://t.co/ui7wdfXt0I pic.twitter.com/sTyTwiFG6e
— 何でもええねん私財法 (@NIKAIDO_KIJI) October 21, 2024
ちなみに、僕は既に、ハリスさんにせよ、トランプさんにせよ、細かいことに一喜一憂するのは意味がないと思っているし、ハリスさんがアラブ系に嫌われたり、トランプさんの失言暴言をネガティブに語ったりすることで、気分とか印象を上げたり下げたりしても意味があんまりないと思って見ています。本質的に重要なのは、もっと思想の深い部分でのアメリカの構造的変化。なぜ、アメリカが内向きになり、アメリカファーストになったかを理解していないので、キャラクターの行動に一喜一憂してまうし、何よりも、報道機関の、特に日本の報道機関の姿勢って、「この射程距離の深さ」が全くないので、「どっちが勝つ?」とか「どっちが好き?」みたいな印象論が根本にあって話しているので、、、、そういうことじゃないんだよなー感は強い。
【物語三昧 :Vol.230】『それでもなぜ、トランプは支持されるのか: アメリカ地殻変動の思想史』③-トランプ現象のその先はどこへ向かうのだろうか?238
https://www.youtube.com/watch?v=9IhysY6Nqas&t=6s
【物語三昧 :Vol.229】『それでもなぜ、トランプは支持されるのか: アメリカ地殻変動の思想史』②絶望死をが示す先進国中産階級の崩壊に対する見下しが現状認識を誤らせる-237
https://www.youtube.com/watch?v=9bgYN50SmnM
【物語三昧 :Vol.228】『それでもなぜ、トランプは支持されるのか: アメリカ地殻変動の思想』①宗教右派を見下す姿勢にが現状認識を誤らせる-236
https://www.youtube.com/watch?v=mkX0MeQs7Ac&t=10s
🔳過去の記事
【物語三昧 :Vol.240】2024年アメリカ大統領選レポート(8)カマラ・ハリスに対する民主党内部の評価〜民主党の穏健派とリベラル派の分断の深さと感じさせる_249_2024-1008
https://www.youtube.com/watch?v=2R-SzhN630Q&t=265s
【物語三昧 :Vol.239】2024年アメリカ大統領選レポート(7)_ハリスでもトランプでも、アメリカの方向性は既にもう変わらない〜ABCフィラデルフィアの感想_248_2024-0928
https://www.youtube.com/watch?v=B5kZgOzniXk
【物語三昧 :Vol.232】2024年アメリカ大統領選レポート(6)_Tim Walz(ティム・ウォルズ)が副大統領候補に選ばれた理由-240_2024-0820
https://www.youtube.com/watch?v=nhKZf7p2NsE
【物語三昧 :Vol.225】2024年アメリカ大統領選レポート(5)_バイデン大統領の撤退と民主党が一致団結してカマラ・ハリスを押したとしてトランプに勝てるか?-233_2024-0727
https://www.youtube.com/watch?v=WaEM2LOCLR0&t=838s
【物語三昧 :Vol.224】2024年アメリカ大統領選レポート(4)_ドナルド・トランプ暗殺未遂事件と共和党大会、副大統領候補にJDヴァンスが選ばれたわけ-232_2024-0721
https://www.youtube.com/watch?v=YLMxkJA6-c0&t=949s