WEBコミック『真実の魔法少女』 病んでる人ばかりだけれども、物語自体が病んでいない(=閉じていかない)ところがよかった

WEBコミック真実の魔法少女
http://www.sa-reika.com/manga.htm


思わず全部読んでしまった、面白いWeb漫画10個
http://fladdict.net/blog/2010/10/omoshiromanga.html

↑ここから気分で選んだのだが、これが当たり。

90話ぐらいある超大作。商業誌に再編集して出すために、そこで終わっているが、そこまででもかなり引き込まれる作品。たのしかったー。終わっていないので☆が低いけど、これちゃんと最後まで描き切れたら、大した作品だと思います。完結まで持っていければ、間違いなく★5つだね。背景のマクロの設定が凄い重厚感で、それを支える組織の人々をちゃんと書き切れてるので、あとは、描き切れるかどうか、だと思う。途中から画力レベルがどんどん向上するのは、みていて気持ちがよかったです。それにしても、おもしろかったー。こういう設定ならば、魔法少女(笑)というのはよくわかる。後半のそれぞれの主人公の過去に物語が移るころから、背景の世界がよくわかってきて、たまらなかった・・・。最初の数話は、なんかテキトーな絵で、、とか思ったが、後半の凄さったらない。


特に、人間関係の理解が、基本として病んでいる(笑)のが凄く重厚でよかった(笑)。普通、心が病む話は、その癒しに向かって(=内面の世界へ没入)物語が進まなくなるのだけれども、物語がガンガン進んでいくこと、背景にある政治や組織がしっかりしているのが印象的。そういう意味では、病んでる人ばかりだけれども、物語自体が病んでいない(=閉じていかない)という意味で、古い意味での作品ではないと思う。メインメンバーが全員めちゃくちゃ心にヤバいトラウマが支配しているのに、否応なく物語が進むのは、よかった。マクロ(=政治や外の外部環境)とミクロ(=内面のこと)が全然別モノで、ミクロとは全く関係なく、マクロが状況をさらって壊していくということがよくわかっていると思うので、、、。世界観の設定も、それを感じさせるだけの登場人物の多さと描き分け、それを支えるそれぞれの倫理や使命感と、絶賛だなー。。。おもしろかった。メジャーデビューになるのはわかる気がする。けど、この密度を、商業誌の背景レベルと、きっともっと速い展開を要求されるはずなので、、、組み合わせて長期の連載をするのは、エネルギーと覚悟がいると思う。。。けど、本当にそのレベルで書き切れたら、素晴らしい作品になると思う。きっとずっと完成するには何年も先になるはずで、その時が来るのが楽しみに思えます。


レミーア・ロク・ロククと萌月ララちゃんが好きだったなー。特に、レミーアと主人公の最初の掛け合いは、これ『デスノート』かって感じの展開で凄くよかったなー。心理描写による情報戦は、物まねなんだろうけど、「実」があるものは、物まねに感じないんだよね。物語の一部になるので。んでもって、この天性の人を巻き込む力のレミーアの感じって、たまらなかったなー。それが・・・・おっとネタバレになるので、これ以上は言えない。。。。


まーあんまりにも長いんで、躊躇しちゃうかもしれませんが、僕はものすごく面白かったです。別世界の方に情報優位性があって、魔法(相当の組織力と時間など制約は大きいけど)によって我々の住む次元の在り方そのものを書き換えることができるという設定は、実は、凄くいいっていだと思った。設定としては凄い奥行きやツールとしての汎用性が高い概念だな、、、と。まだまだ全体が心理描写(ミクロ)に厚みがあるので、このへんの謎は明らかにされていないけど、今の勿体ぶり感もたまらない(笑)。面白い物語って得だよなーと思う。だって、「説明していない!」とか「描けていない!」と思うよりも、「次に何が来るのか!!」というわくわく感がそれをすべて打ち消してしまうんだもの。