『魔法科高校の劣等生 (12) ダブルセブン編』 佐島勤著 新シリーズはじまりですねっ!

魔法科高校の劣等生 (12) ダブルセブン編 (電撃文庫)

長く続く物語、というのは、いいな、と思う。特に、なろうの頃から読んでいて、実際に商業ベースで出てくるのをコツコツ読んで、、、というだけでなく、やはりこの作品は密度があって、場面がとても起伏があることもあって、好きなんだろうなー何度も読み返しているのですが、何度読み返しても、1年生分で終わってしまっていたんですよね。まぁあたりまえです。「そこ」までしか既刊というかデータがないわけですから。ふつう気に入って、何度も読み返している場合って、既刊なものなんですよね。なので、僕の中では、魔法科って1年生で完結!敵なイメージが強固に心の中でできていた感じがするのです。


・・・まぁ、続きはあるのはわかっていたとはいえ、「新しい時間が動き出す」というのは、なんというか強い感慨がありますねぇー。なんというか、『けいおん』で大学編とあずにゃんの高校編が出てましたが、本編が継続っていうかその後のエピソードみたいな感じじゃないですか、、、そうではなく、まさに本編が再スタートというか、そういう感じって、、、なんか感動するものがあるなぁ。ソードアートオンラインもアリシゼーション編の次が出たら、そういう風に感じるのでしょうか?。


それにしても、、、この作品ってすごいなぁ、と思うのは、1巻最初から設定は難解だわ、説明はうざすぎるほどうざくくどく、登場人物は多様すぎるほど多くいて(普通ならそういう出し方は判別がつかない)、、、と通常では非常に難しい、というか、なんというか、初めて小説を書こうとか、そうんな風に思った人が、自分の頭の中で妄想を高めすぎて、読者に全く分からない(作者にわかっている)形で書いた感じのするパターンの典型なんですが、、、、それが全部逆に作用しているんですよね、、、。確かに僕は初見の時から、この「難解さ」を「難解だ」という風には全く感じなかった。いまはどうなんだろう?。まだ商業化される前には、何人かから、ごちゃごちゃしてて読みにくいという意見があったのを聞いたのを覚えてしまうが、、、、少なくとも「僕はそう感じなかった」ンで、逆に言えば、僕のように、すっと読めてその世界化の虜になる人もかなりの数存在したのでしょう。どう見ても商業的には、とっても最初にとっつきにくく出版されにくそうな作品です。SAOに並んで、なんというかウェブ小説出身の頂点に立つ王者の風格で存在していますが、みなさんこれは、『こういう売り方をしよう!』と考えた出版社、編集者が偉いというような言い方をしますよねー。僕はこの辺の仕組みがどうなっているのか、あまり興味を持てないというか知らないのですが、そう見えるんでしょうねー。・・・・僕には、最初からかなりおもしろかったので、、、、ああーでも、うん、いまでこそ超ド級に思っているけれども、最初の頃の位置づけは、もしかしたら一般には受け入れにくいかもなーと評価していたような思いでもあるので、やっぱり、難しいと思っていたのかもしれません。ただ、こういう特異な作品が売れて頂点にあると、またそれはそれで、小説のトレンドや書き方が、多様性を帯びると思うので、いいことなんだろうけどねー。


ちなみに、僕は、よく考えると、この作品で、特異に好きというキャラクターがいない。・・・・この作品の凄いな、と思うところは、思い入れるキャラクターがいないにもかかわらず、キャラクターの個性がそれぞれに素晴らしいところだろうなぁ。うーん、うまく表現できない、、、なんというか、ちゃんと「層」が別々にあるんだよね。七枝真由美会長は、先輩なんだけど、、、先輩のコミュニティーが主人公とは別のところで確固としてある感じがする。ライトノベルって、キャラクターのキャラの立ち方や主観視点で強調するものが多いので、別の「層」があるように描くのって難しい気がするんだよね。世界を描くことになるので。それがとても自然にできていて、なおかつ、けっしてマクロではなく個々のミクロの存在感がとってもある。。。。要は群像劇のことなんだけれども、、、群像劇を立ち上げるのって、物凄く難しいんだよね。何がトリガーになっているか、僕もよくわからないんだけれども、、、、。などなど考えつつ。


まぁ、何はともあれ、新シリーズ、超うれしいです。水波ちゃんが、達也兄さま、と読んだときには、さすが作者!と手をたたきました。この人、クールな感じがするし、とても理系的な文章なのに、なんというか、よくわかっているなーと。。。