自分の人生のライフスタイル(構造的なアセット)を自覚的に形作ることのすすめ

2008-01-21 最後通告は37歳
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20080121


2009-05-05 まだいける、と思ってた?
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090505


残りの人生が、目に見えて、変えられなくなる境が37歳という話。


ふと思い出したのですが、ちょうど数年前の37歳前後に、僕は、大きな決断を下しています。老後を楽しく過ごすセカンドラウンドライフのために時間を使うのを優先すること、です。もう一つあるのですが、それは個人的すぎるので、ここでは横に置いています。


逆に言うと、かなり早くも会社人生の出世をあきらめてしまったんですね。



会社ぐらいしか逃げ道がないパンピー社畜会社員のペトロニウスにしては、なかなかの決断です。



当時なぜ自然にあきらめてしまったのかはとても不思議です。なぜならば、僕は社内の出世街道ではそんなに悲観する必要もないまあまあなところにいる感じで、あきらめる理由は全くなかったからです。むしろ、いやいや、この年齢になって、ここまで来ているってことは、わるくないんじゃないの?っ感じでした。40才近くなってこう思えるのは、日本人社畜リーマンとしては、なかなかのもんだと思いますよ。こう決断したのはなぜだったのか?


なんといっても、一つは、日本人ではない部下や関係者と仕事をするようになって、グローバルな仕事をするようになって、


ああ、俺のキャリアでは到底ついていけないな(笑)


と、実感したからです。いや、たぶんMBA出てた部下にも尊敬されてたと思いますし、グローバルな事業も実際に自分の手で回していましたし、実力的に問題があったとはあまり思わないのですが、、、、なんというのでしょう?、基礎体力がないんですね。


まずは、英語がしゃべれない。読めない(笑)。


いやいや、僕相当しゃべれますよ?海外に交渉に行くんですから。チームも外国人ですし。けどねぇ、、、そんな、ちょっとしゃべれるとか、そういうのほとんど意味ないんですよ。マジで事業を、独力で回すとすると、もう圧倒的にダイヴァーシティーの経験が足りない。チームの一部ではいいですよ?でも、トップに立ってもやれないもの。なので、そうだとする、そもそも出世する意味がない。できないことで出世したいとは思わないし。しょせん、日本国内から仕事しているなんちゃって海外経験なので、しょせんは、ドメドメ村の視野の狭い社畜君にすぎません。海外のMBAを卒業してきた部下に、ペトロニウスさんはどこのMBAを卒業されましたか?ハーバードとかですか?とか質問されるの、もうやだもん(苦笑)。ちなみにこの質問は、北京大学を出た後、アメリカでMBAを取得してきた僕の部下の質問。俺なんか、日本から出たことねーつうのって、答えるのもうしんどい(笑)。なんで、俺がお前に仕事おしえなきゃいけないんだよっ!お前のほうが100万倍ぐらい頭がいいだろうに、とか思いつつ。まぁ、いいやつなんだけどね、、、。


それに、もう今更追いつくのめんどくせえーよって、思いました(笑)。「できること」以上のことをするには、かなりの無理が必要です。でも、もうすぐ40が見えてきたペトロニウスおっさんとしては、体力的にも、もう無理だなーと思いました。そもそも家庭を大事にしているので、そんなことをしたら、家庭崩壊です。家庭崩壊ぐらいで済めばいいので、下手したら体壊れてうつ病か、心臓発作とかまっしぐらです。そもそも、僕には強い動機がない。別に、ビルゲイツにもナポレオンにもなりたいという意欲がないもの。そもそも。


なので、まぁ、僕なんかが、グローバルなビジネスマンになることなんか、もうねぇな!って、結論付けました(笑)。それが、30台の真ん中です。



ちなみに、僕は自他ともにに認める動機の強い人間で、だからこそ、ガンガン人生を突き進んできたわけですが、、、その自分でさえ、しょせん物凄い動機を持つ人からするとパンピーなんだという強い諦念があります。なのに、僕よりも動機が薄い人が、自己啓発本などを読んで頑張ってる姿を見ると、なんだかため息が出てしまいます。。。無理なものは、無理なんだよ、、、と。自分でさえ諦めるのに、それよりも全然低い意欲で、劇的な結果とか飛躍とかないから、、、と。相当のエネルギーがあふれる僕のような人間だって、流されないで生きるのなんて、めんどくさくて、しんどすぎて、やってらんねーよと思うくらいなんだから。


ということで、数年前、僕は、会社で努力するのをやめました。


まぁ、とはいえ、自分のポジションにふさわしい仕事はしてたと思うので、別に楽をしていたわけでもなく、それなりにハードではありましたが、、、、たとえば、仕事を効率よく終わらせたら、基本は定時に帰りましたし、有給もアホみたいな頻度で使うようになりました(びっくりすることに若いころの10年間ぐらいほとんど使ったことがないことに気づいて、驚きました)。ちなみに有給も、友達とコミケに行くからとか、エヴァの映画見たいので、とか、友達(海燕さんとかLDさんとか)と一日ファミレスでだべりたいのでとか、そういうレベルで、休んでいました(笑)。今までの社畜ぶりからすると、ありえない放埓ぶりです。子供の保育園の参観や一日保育のために毎回休むようになりました。人生を、豊かに楽しみたいじゃないですか。使える時間に余裕があることも、重要な豊かさです。給料が高くても、常時緊張して疲労しきっていると、時間当たりは、最低なんですよ。年収低くても、時間があるほうが、豊かだったりします。そのへんは、バランスなんですよ。


その時、強く目標としたのは、老後、、、リタイヤ後の、趣味と友達を確保することでした。当然に、家族の絆をという定番はあるのですが、まぁそれは当たり前すぎるので。


30台を子育てしている人はわかると思いますが、個人の時間は全くありません。なので、凄まじく友人と疎遠になる。そして、ここで疎遠になった友人は、退職後まで、戻ることはないといいます。また退職後に戻っても、あまり共有しているものがないので、なかなか深い仲間になれません。


趣味って、僕は決まっています。本とマンガとアニメです!!!ヲタクだもん!。。あと、歴史かな。まぁ、それ以外にもあるんですが、ここは話をシンプルにするために、これだけに絞りましょう。


その頃、、、、数年前に僕は、ずっとコツコツブログの友人関係を、より深いものにしようと努力し続けて花が開いたころでした。ネットワークも、しっかりリアルで安定して広がりつつあるころで、それをぐっと深く意識して構築するようになりました。あの頃の僕のブログには、友達ができてうれしい!!というような、中学生とかでもいいそうな、初心な喜びに満ちていたと思います(笑)。



僕、これはものすごくよかったと思っています。



それは、二度目の人生を、主体的に自分で決断したからです。



何を目標に生きるか?、自分にとって本当に大事なものは何なのか?、社会的なステイタスがなくなった老後に何を自分が望むのか?ということを、まじめに考えて意志決断したからです。


結構大変でしたよ?。


だって、それまで夜中まで仕事やって土日もなくするような仕事量を、一切しなくなるわけですから(笑)。たぶん大きく信頼を失った部分もあると思います。あいつ、仕事しなくなった、とかね(笑)。実際、面と向かって言われたし。


とはいえ、面白いことに、仕事をサボるというか怠けて実務で自分が必要じゃ無いこと以外はしなくなったんですが、、、、そうすると、生産性が凄く上がったんですね。むしろ(笑)。というのは、僕でしかできない、これは難しい!けど、これが結果が出ていれば、誰もさすがに文句は言えない!という仕事だけをするので、周りも文句が言いにくい。それに、教育を凄く考えるので(=自分でやりたくない)、仕組みを変えようとしたり、周りにモノを教える姿勢が目立つようになったので、、、、そうすると、おっと、彼は仕事的に、和を重んじて、後進や周りの教育に熱心だ、となんかむしろマネージャーとしての評価が高まったりしました(笑)。人生、よくわかりまへん。ということで、



二度目の人生で、何が大事か主体的に決断して積み上げた数年間は、僕の人生を劇的に変えました。



だらだら普通に仕事をしなくて、本当に良かったと思います。上司も、僕の年休の使い具合に、かなりいやな顔していましたが(笑)、そういう空気をすべて全力無視してよかったと、心底思います。周りの空気なんかくそくらえだ!というのは、日本の社畜リーマンにとっては、なかなか大変なことですからね。でも、やり切りました。


でも、30真ん中で生き抜いた社会人は、それほど弱くはありません。ブラック企業が蔓延り、ムラ意識が支配する、長時間拘束日本の保守的大企業にあっても(笑)、目的意識とその持てるビジネスマンとして能力を傾けると、自分の立場を守り、ちゃんと給料分以上のアウトプットを出すのは、決して難しくありません。みんな、そこまで全力で努力しないだけです。甘えているんですよ。自分の人生は、誰も助けてくれません。変えるのは、自分で変えるしかない。


その結果、マイナスの結果がきてもいいと思っていましたし。マイナスというのは左遷とか降格とかね。まぁ、とはいえ仕事の質も結果も高いので、そうなるはずないとは思っていましたが、、、、まぁ、日本の人事は空気と気分ですから、飲み会も100%拒否していましたし(笑)。僕は中国や韓国の営業で、飲みまくりで名を馳せた人なので、飲み会を断るなんて、相手には相当の侮辱に感じたようですが、まぁーやなやつとか仕事でなんか、飲みたくないもん。ヲタク話をしながら、安居酒屋で友人とだべっているほうが、人生の素晴らしい喜びの時間だもん。



ああ、そうそう、もう一つ、上記で「仕事で無理な努力をするのをあきらめた」というのは、僕は、30代の後半ぐらいになったら、職業ってコーリング(=使命)があるだろうって思っていたんです。社長になるやつは、なるべくして、そういうルートに乗るし、選ばれる。何か社会的に価値があるような大きな仕事をする奴は、努力とか、志とか、目標とか、そういう自分の意志でどうにかなることなんかでは、どうにもならないって思っています。なんかねー物凄い頑張ると、、、、実力以外に起きることのでかさがよくわかるようになるんですよ、、、。



30前半ぐらいまでは、仕事の実力だけでいきます。けど、、、それ以降は、運というか、マクロみたいなものから選ばれるもんであって、努力しても無駄じゃねぇ?とか思っていたんですよね。



とはいえ、そこから数年、まったく僕には何のコーリング、、、、選ばれることもないんで、あーやっぱこれは、楽しく生きるべきなんだ!って思っていましたよ。そうして、努力していると気づくのです。この数年、自分が、セカンドラウンドライフ(=二週目の人生)のために、積み上げたアセットがどれほど大きなものなのかを。まぁ、僕の決断なんか、微々たるものです。その時は会社を辞めたわけでもないわけですからね。でも、自分の意志で、自分の人生を目的や大事なものを見直して、かつ、行動に移して生活スタイルを変えたことは、微々たるものでも、凄い効果がありました。社会人は、仕事ってすごいやるもんです。それと同じ継続性や一貫性を数年維持し続けると、結構凄いものなのです。意外に、みんな自分の幸せのために、それを仕事のように目標を決めて努力して積み上げるとかしないものです。








なので、自覚的に人生を、自分の人生を変えましょう、というおすすめです。



















閑話休題





これで話が終わらないのが、人生の面白いところ。



まっ、、、、人生はほんと、万事塞翁が馬です。



そんなふうに会社人生であきらめて、仕事をあまりしなくなったおっさんペトロニウスは、いまアメリカの企業で経営者になっていたりします(笑)。←いったい何が???。もちろんのこと、日本人なんか一人もいやしません。いやまーほんと、人生何があるか全くわかりません。最初のちきりんさんのブログじゃないですが、まぁ、30後半で多少手を抜いても、結局は、それまで積み上げたもので、人生決まるし、評価されるんだよね。最初の10年くらいは、虫けらみたいに、死ぬほど働いたものんなーーー結局、その積み上げは、次の人生を開くんでしょねー。正直、ヲタク趣味にまみれて、日本で、スーパークローズドムラ社会のドメスティツクライフ最高!!!とか、思っていたはずなのに、、、こんなことになっちゃって。。。。人生ほんと、まったくわかりまへん。


もうグローバルとか勘弁して、日本最高!!!とか思ってそういう人生の準備がすべて終わったところで、、、、こんな激変(苦笑)。



人生は、ほんと、意味不明です。



まっ、マンガとアニメと映画と本があれば、それで十分幸せなので、別に何も失うの怖くないので、なるようになればいいと思っています(笑)。



きっと、なるようになるでしょう。



面白くもなき世を面白く(高杉晋作)です。