『終末のイゼッタ(Izetta: The Last Witch)』(2016) 監督藤森雅也 残念ながら設定をいかし切れていない

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評価:★★★3つ
(僕的主観:★★★☆3つ半)

ネットフリックスで見れるんで、こつこつ見ています。んで、いま8話。しかし、アニメーションってほんとに出来が良くなったよなーと思う。というのは、うーんはっきりいって、この物語駄目だと思うんですよ。全体の構成が悪いし、ドラマトゥルギーが動いていない。キャラクターデザインもかわいいし、動きもいいし、けっして破綻しているわけではないから、普通にみれるんだけど、普通な話。一番はやっぱりドラマトゥルギーが発動していないことだろうなー。たぶんね、タイトル、全体の流れから、この物語は悲劇が描きたいんだろうと思う。最終的には、イゼッタかお姫様が死ぬとかそういう悲劇に収斂したいんだろうなって演出をスゴク感じるんです。まぁEDからして、そういう雰囲気ですしね。仮に最後にハッピーエンドになったとしても、そういう「流れ」に物語をもっていこう、観客を乗せようという意図を感じます。けど、それが全然失敗しているんですよね。うーん、残念。設定的にもいいし、よく練られているだけに、どうしてこう「普通」に落ち着いてしまったんだろう、と残念に思います。なんか全然悲劇になっていなんだよなーこの話。ガンガン人が殺されているけれども、ぜんぜんショックな感じがしない。。。。。でもま、破綻していないというか、それなりに見れるってのが、現代のアニメって凄いなーと思う。うーん、たぶん設定的にも、全体的に僕はこの作品とても好みなんだろうと思う。それが故に、ちょっと悲しいというか、残念な気持ちがしてしまうのです。


うーん、やっぱりなんとなくもやもやってするのは、それぞれのキャラが、本当にしたいこと、がよくわからないからだと思う。お姫様は、いったい何がしたいんだろう?って思うんだよね。エイルシュタット公国を守りたいというには、なんというか、あまりに戦略眼がなさすぎる。普通にいい人というか、いい子なだけで、ノブレスオブレージュを感じない。地政学的にスイスっぽい感じがするけれども、地形的にはあんなに簡単に戦車部隊が通れるってことは、スイスじゃないんだろうか・・・・。なので、国民皆兵によるゲリラ戦とか、できないのかなとか思ってりするんですよ。やるならスイスのアンリ・ギザン将軍くらいの覚悟と戦略が必要と思うんですよね。首都を捨て去って、軍部隊だけで山間に立てこもるとか。まぁ脚本にどう生かすかだろうけれども。うーん、いやなんか、頭がお花畑というか、単純にいい人ばかりな気がしてしまうんですよね。秘密を知られた人をあっさり殺しちゃうとかも、なんというか、非常に短絡に感じて、、、いやまぁ悲劇というか、どうにもならないこの世の現実とかを演出したいんだろうけど、演出のためにしている感じがしてしまうんですよねぇ。イゼッタ自体も、なんで彼女がお姫様のために命をかけるかがいまいちわからない。百合的に、というか幼少期に救ってもらったお姫様のりりしい姿が憧れになっているというのだろうけど、その程度で、ここまで尽くすだろうか?というのも、僕にはピンとこない。もちろん、ある程度はわかるんだけど、狂気を感じないんだよなぁ。狂気というか、悲劇になるような大きな出来事まで極端なことが起きるには、もっと動機が激しくないと、なんとなく納得できない。もちろん整合性は取れているし、まぁ、わからないでもないんだけど、「まぁ、そうなんだろうな」ぐらいの感じしかしないので、悲劇に向かう「どうしようもなさ」みたいなものを感じられないんだろうと思う。おしい、凄く世界観が練れていて、好きな系統の話だけに、残念な感じ。秀作、なんだろうなぁ。


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