『魔王転生のはずがTSして錬金術師に』 らっちぇぶむ 著  まだ見ぬ勇者の存在感が凄すぎる。なんだか、坂の上の雲的な気分になってくる(笑)

魔王転生のはずがTSして錬金術師に
作者:らっちぇぶむ
http://novel18.syosetu.com/n4351da/

評価:未完のためにまだ未評価
(僕的主観:★★★★4つ)


NAISEIチートハーレムで、ミッドナイトノベルですね。なので、Hな場面ががっつりあります・・・・が、これも、このレベルで官能小説的なのって、、、うーん、逆に凄い技術かに関する知識が深すぎるので、Hナシーンがあるが故に、バランスがとれているのかもしれない。人間味が凄い増しますしね。最初読み始めた時、あっ、これ「あかんやつだ」と思ったんですよね。説明が長すぎて詳しすぎて読みずらい。だけど、Hなシーンにつられて読んでいるうちに、引き込まれて行って、今では毎日に楽しみに(笑)。これ見事な戦記モノになってきたなーという感じ。


うーん、大好きなんだけど、何がいいんだろう?。まだ言語化できていないんですが、、、、って書きながら考えている。あのね、この話ってね、魔族と人間が生存権をかけて争っている二元的な世界なんですが、どうもね、勇者が召喚されると、めっちゃ強いみたいなんだよね。


この勇者が60年周期で人類側に召喚される。基本的には、魔族と人類は勢力圏や文明レベルなど拮抗していて、やや魔族が優勢という状況なんだけれども、60年に一度呼び出される勇者がとんでもなく強くて、いつも人類側に逆転されている。とはいえ、何とか魔王率いる魔族は、勇者を倒しているが、、、、というバックグラウンドがある。それでね、主人公のアラネアは、魔族側に召喚された存在なんですよ。次の勇者召喚まで10年を切っている状態で、カウントダウンが始まっている。勇者が召喚されてしまったら、優勢な魔族がたった一人の戦線投入で、ほぼ逆転されるのがわかっているほど、勇者は強い。アラネアが、やらなければいけないのは、この単独で軍を上回り、個々の個体ではるかに強大な魔族の上位種ですら簡単に、魔王すら簡単に殺されてしまうような相手に、何とか勝つ状況を作りだすこと。


そして彼女は、残りの10年で、近代的な軍隊と膨大な火薬などの物量で、強大な勇者をぶっ潰すことを目的に、一気に魔族の生存権内に産業革命を起こそうとするんですね。このおっさん(アラネア)は、元職人ということもあって(それにしては知識がありすぎるけど、そういうののオタクだったという設定)、なんというか、なかなかいいルートで、近代化を起こそうとするんですよね。まずね、度量衡の標準器をつくるんだよね。

「それにしましても、度量衡の原器を作り、それを全ての標準にして物作りをするとは、職人が納得しますかな?」


「別に納得して貰わなくてもよいのです。この原器を元に物差しや錘を作り、それを使って工作機械を作りますし、設計図も引きますから」


「なるほど。職人に逸品を作らせるのではなく、全く同じ寸法の数打ち物を大量に作らせますか」


「はい。そのために新しい技術を取り入れて、大量の鋼鉄を生産します。時間あたりの作業量を増やす、そういう方向で制度を作ります」


 私が目指しているのは、十九世紀にコルト社が英国での万国博覧会でやった、何丁かの小銃を分解して部品を混ぜ合わせ、そこからまた小銃を組み立てても全ての銃がきちんと作動したという、あれである。歩兵銃と銃剣と野砲を導入し、部品の互換性を確保する。そうやって整備した新式軍隊で、十年後に起こるであろう戦争に備える。いかに勇者が極悪に強くても、後装式ライフル銃と、キャニスター弾を装填した野砲の火力の前には、その力を発揮しきれないはず。



10:基準となる物差しは、きっちりと作りましょう
http://novel18.syosetu.com/n4351da/10/


とこういう感じ。ようは、兵器産業を興すために、大量の規格品を作りだすためにこういうことをするんですが、、、、、いま鉄を生み出す巨大工場群ができ、着実に、その戦略を突き詰めつつある物語の展開に、ぐっときています。こうやって全体を分析してみると、たしかに、ただ単にNAISEIチートのフォーマットに乗った作品で、特に目新しいという感じもしない気がするんだけれども、なんか好きなんだというか熱くなるんだよなー。ミッドナイトノベルということもあって、R18の作品なんで、そういう描写が間間に入って、むしろチープになりそうだし、そういうので誤魔化しそうな感じがするんだが、、、、なんか、いい感じに展開していくんですよねー。何が、ポイントで、面白いと感じるんだろう?うーん、書いててわかんなくなった来た。たしかに、度量衡の標準器とか鉄の種類にこだわるとか、産業革命や近代化の起こし方は、あまり見たことがないものではあるんで面白いんですが、『まおゆう』が初めて、まずはジャガイモで食糧革命を!といった時のようなマクロの衝撃はない、と思う。だって、やっぱりフォーマットに乗っているのには変わりがないもの。。。。


では、何が?というと、、、、やっぱり、勇者という単独で軍をひっくり返す存在に対して、10年かけて、非常に焦りながらマクロの改革をしていくという、その切迫感というか、目標意識が物語を占めているのかな???。まるで、日露戦争に向かう秋山兄弟のような『坂の上の雲』的な感じで。あれも、世界最強の陸軍国家ロシアを、弱小の極東の辺境国が倒す!という不可能な目標に向かって、突き進んでいくところが尾面白いわけで。。。


でも、たぶん、やっぱりキャラクターが魅力的なのかもなー。『冒険者パーティーの経営を支援します!!』とは、逆の感じがする。むしろキャラクターの魅力が、いいんだと思う。


ああ、ええとえですね、主人公のアラネアさんなんですが、前世はおっさんなんですよ。本人はキモオタだって謙遜というか自分を卑下して回想しているけれども、ずっとまじめに働いていて、たぶんすごく仕事ができる職人系の人だった感じで(基本的な工学的な職人の知識量と経験値が凄いもの)、不器用でどんどん悲惨な目にあって、最後死んじゃったという感じで、報われなかっただけで、凄くちゃんとした人だった気がする。オタクとか自称しているけれども、ナルシシズムに浸った感じが全然しない。このおっさんは、仕事が好きでマニアックではまりすぎて、政治的なことが全然できないの不器用な人だったんだろうなーというのがひしひし伝わってくる。。。。うーん、だから、ふたなりの絶世の美女に生まれ変わって、マジでいい男や女の子たちを侍らせてても、ヤな感じがしないのかもしれないなーと思う。というか、自分でキモオタキモオタ連呼するる割には、スヴァローグというまじで、どんだけだよっ!っているまじイイ男にべた惚れされて、まぁ当然という感じで受け入れて、愛されまくっているのが嫌味じゃないのが、いや、なんか、おかしいからそれって気になる(笑)。


うーん、なにがいいんだろう。うまくいえないや、、、、でも好きです。アラネアさん、いいっすよ。あねさんって感じがする。おっさんの転生した姿だけど(笑)。