物語のあの丘の向こうへ〜最近、まおゆうのドラマCDをコツコツ聞いています

まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

最近生活スタイルが変わったので、がくっと本や漫画を読む量が激減している。その代り車通勤なので、音楽やオーディオブックを聞く時間が確実に確保できるようになったので、今まで聞きもしないでおいていた、ドラマCDの類をコツコツ消費しています。


ずっと、置きっぱなしにしてあった、まおゆうのドラマCDもコツコツ消費している。


それにしても、、、、やはり第1話のというか、プロローグの魔王と勇者の会話のシーンは、本当にすばらしいのだな、と感心する。特にもともとが会話形式で書かれたものなので、対話の形式で聞くのが素晴らしい。


特に、この部分って、ほんとうに魅力的というか、大きなエネルギーが込められている、と思う。


最初の部分の魔王と勇者の会話って、本当に原初的な、というか、類型的な、というか、本当に繰り返し続けられている「問いかけのパターン」なんだよね。


けど、この問いかけに対して、答えているものっていうのは凄い少ない。


もちろん学問の世界では、この問いは重要なので、追及され続けている。でも、この問いに答えるには、問いかけの次元を超える次元の問題意識が必要なので(うまく表現しにくいが、、、、)なんというか、二次元と三次元ほどにも違う。


なので、口語とか物語とか、普通の世界に生きていると、ほとんど答えられないというか、意識がしようがないものなんだよね。えっと、たとえば、ある質問をしたとして、その答えが、高等数学でしか表現できないものであるとすると、ミクロの世界に生きて動物の脊髄反射的なものを基礎に生きている動物である人間には、非常に理解しがたいものになるのはわかるじゃないですか?。


なんで殺しあわなきゃいけないんだ!というミクロの切なる質問が出たときに、答えが戦争に依存する経済体制の話というマクロの説明されても、全然実感できない。


この格差というか、次元数の差はもちろんなくすことができない。


けど、ものすごく気を使って、それを理解できるようにこの最初の魔王と勇者の会話は設定されている。魔王がかわいい女の子であること、基本的には、魔王が勇者のことが人間として好きで好きで仕方がないという前提があって、かつ、議論をしたいわけではなくて、解決ことこそしたい、という誠実さが溢れた状況になっていること、など、聞き手が敵対側の、しかもマクロに近い難解な話を、なんとか


転換と突破


できないかと感じるようになっている。しかも、魔王側に、そういった一緒に勇者と生きていきたい!という目的があるため(=説得が目的ではない)かなり概念の理解レベルで差があるにもかかわらず、何とか伝えられないかと考え抜かれて会話のエピソードができているもんなー。


まぁ、ここのドラマCDは、すごくいいなーと思うので、暗記するくらい何度も聞いています。


アニメのここの部分の第一話もいいんだよね。かなり演出が効いている。ただ、もともとにくらべるショートカットされているので、やはりオリジナルを、こういう朗読形式で聞くのがすごくいい。


ちなみに、子供と毎回聞いています。子供には、魔王と勇者の、二人の突破は、ぜひ体感してほしいんだよー。いまあるものをオリジナルの原体験で持てば、あの丘の向こうに行けると思うんだよね。


そして、この物語の最先端の問いかけとその答えの部分を、繰り返し体に刷り込んでおくと、次のものが出たときに、異なるステージのものに触れたときに、一発で分かるようになるんだよね。なので、よいものは繰り返し長く体験しよう、とおもうペトロニウスでした。


■参考記事

次世代の物語としてのまおゆう〜ジャイアニズムDXのまおゆう特集に記事を書かせていただきました。
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20121209/p2

ジャイアニズム Vol.2 (エンターブレインムック)』のマブラヴ特集に記事を書かせていただきました。
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20120324/p1

メイド姉が目指したモノ〜世界を支える責任を選ばれた人だけに押しつける卑怯な虫にはなりたくない!(4)
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20100512/p1

英雄譚の類型の倫理的欠陥〜魔法騎士レイアイース(1993-96)に見る、全体主義への告発(3)
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20100511/p1

善悪二元論を超えるためには、歴史を語り、具体的な解決処方を示さないといけない (2)
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20100510/p1

魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 ママレードサンド(橙乃ままれ)著  
その先の物語〜次世代の物語類型のテンプレート (1)
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20100429/p4

『放課後のトラットリア』 その1 異世界トリップものコアの一つは、世界をもう一度インプロヴィゼェーションに戻すセラピー効果
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130315/p1

『放課後のトラットリア』橙乃ままれ著 その2 結局人間理解の幅と観察力の差が、筆力の差を生むのかも
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130319/p1

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