客観評価:★★★★★5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)
オルフェンズを見たのがきっかけで、超平和バスターズ(長井龍雪・岡田麿里・田中将賀の3人によるアニメーション制作チーム)が、自分に中で個別認識というか、この人たちが見ているものは何なんだろう、なぜこれを描くのだろうかというのが、凄く盛り上がってきて、ずっと追わなきゃとこつこつ見ている。岡田麿里さんつながりで『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018)、篠原俊哉監督の『凪のあすから』(2013-14)とか見ていくうちに、全然認識なかったけれども、『あの花』(2011)も『『とらドラ!』(2008)、『DTエイトロン』(1998)とかとか、単体で気になっていて、うまく言葉にできないけど、ずっと心に残っている作品はめちゃ関係してて、おおこれはテーマで追わなきゃいけない!というか、とにかく見たい!と思って、いまこつこつ見ています。
『心が叫びたがってるんだ。』。昨日見たんですが、、、、途中で、というか開始数分で、あ、これ傑作だという環境が沸き上がってきて、最後までそれが消えませんでした。素晴らしい作品です。見ている最中も、1日たった今日も、こういういい話に出会えて、ありがとうという気持ちでいっぱいです。なんというか、キャラクターたちがとても等身大。
とにかくいいものを見た、よかった。それが言いたかった。
長井龍雪監督『空の青さを知る人よ』。「これは自分のためだけの映画だ」と思ってしまう人がきっとたくさんいるような、とても気持ちのいい映画でした。長井さん田中さん岡田さんの3人は、はっきりと彼らにしか作れないものを表現し続けていて。とらドラ!の10年前から憧れの人たちなのです。
— 新海誠 (@shinkaimakoto) October 17, 2019
ちなみに、新作は見れていないのだが、新海誠監督がここで指摘してて、ああ、やっぱり何か大きなテーマというか文脈があるよなぁ、としみじみおもっている。ちなみに、まだ全然言葉になっていないんだけど(笑)。まぁ、好きなんです、ということ。
脚本構造は、『あの花』と同じ。幼少期に抱えたトラウマを、数年が過ぎ去った後、なにがしかの契機をきっかけに、主人公らティーンエイジャーがそのトラウマと向き合う。青春群像劇といってしまえばそうなのだが、この喪失と再生を喚起させる絶妙な脚本は、さすがの超平和バスターズ。
素晴らしい作品は、最初の数秒、数分の「入り口」で目が離せなくなる。この作品も、最初の幼少期の成瀬順が、おしゃべりで、明るく元気な女の子というのは、見ていればすぐにわかる。そして、ちょっとテンション高いその子が、山の上のお城(ラブホテル)を見てて、そこから見知らぬ女性と出てくる父親を見てしまう時点で、もうこの家庭がめちゃくちゃになって、この子が呪いをかけられることになることは、誰にでもわかるはずで、もうドキドキして目が離せなく引き込まれる。全編、この絶妙なシナリオの構成は、さすがとしか言いようがない。どれくらい売れたかはわからないが、この見事な引き込みを見ても、仮に宣伝が弱くても口コミで広がりそうな、素晴らしい出来だった。これは、、、売れたんじゃないかなぁ、と思う。どうなんだろう。
ちなみに雑感で取り留めないが、この順の父親はクズにもほどがあるな、、、とちょっと見終わった後も、驚きすぎる。でも、そんなものなんだろう。なにげなく発せされた言葉が「呪いのトラウマ」となり、子供を、人を縛っていくものなんだろうと思う。父親は去り際に、「全部お前のせいじゃないか」という無慈悲な言葉を投げつけるのですが、それによって、主人公の順は、自分のせいで家庭が壊れたと落ち埋められて、言葉がまともにしゃべれなくなります。これ、成瀬順という少女が、おしゃべりで、感情が駄々洩れになるような、元気いっぱいの女の子であるのが、体の動きや雰囲気から、声がしゃべれなくなってさえもわかるので、その子にかかっているトラウマの深さが、切実に迫ってきて、胸が痛かったです。
物語としては、言葉が出なくなっている彼女が、好きな人と、友達と出会うことで、言葉を取り戻していく物語になります。心が叫びたがっている彼女が普通の言葉はしゃべれないけれども、ミュージカルの歌ならば声が出せるというのは、うまいシナリオだなぁ、と唸りました。
ふとこの作品を思い出しました。どっちも傑作ですね。
なんというか、「声が出ない・気持ちが伝えられない、伝わらない」「まだティーンエイジャーであるにもかかわらず深いトラウマと喪失を抱えている」「抱えたリグレットを抱きしめて前に進んでいこうとする時にそばにいる友人がいる」みたいな、この感じ、、、、彼らの作品を見ていると、共通の何か、いまの時代の空気を凄く感じて、見ていて叫び出してしまいたくなるような、むずがゆさを感じました。
『響け! ユーフォニアム』を見た時にも、なんでこんなに若いのに、既に「自分が許せないようなリグレット」をかけているんだろうと、不思議に思ったんですが、この抱えている後悔を、何とか次に超えていきたい、というのは、共通の青春テーマなんでしょう。この感覚は、『青空エール』とかでも感じたなぁ。
まだ、正直、超平和バスターズについて語る言葉がまとまっていないので、「良かった」くらいしか言えないけれども、本当に素晴らしい物語でした。なので、書いておきたかった。
うーむ、最近凄いアニメとか映画を見れている。オルフェンズをがっつり見たおかげかもしれない。
心情的には、オルフェンズをめちゃハマって友達と考え続けながらマジで見た「物語体験」が、新世界系とか脱英雄譚とか、これまでの2010年代のテーマをすべて、洗い流して、「その先の向こう」に連れてきて一段落ついたから、次へ行こうぜ!!!という内面の変化が起きたのではないかと思っている。
— ペトロニウス (@Gaius_Petronius) December 17, 2019
あらためて『とらドラ!』見直したくなった。見ないと。