『結界師』田辺イエロウ著 アンチドラマトゥルギー、主軸のドラマと主人公ドラマが交わらないこと

結界師(35) (少年サンデーコミックス)

客観評価:★★★★★5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)

ちょっと前だけど、サンデーのアプリで無料公開されていたので、久しぶりにこの傑作を一気に読了。あまりの世界観の完成度合い、物語の深さに、感動しました。LDさんが、傑作だと、信じられないくらい深い、面白い、とずっと言っていたのですが、、、そして、自分でも最初に読んだ時に、確かに全体通して読むとそうだな、とか思っていたのですが、、、、今回数日で一気に読んで、「どう読むか」の視点が定まって読んだら、あまりの傑作度合いに、腰が抜けました。これでほぼデヴュー作って、作者どれだけ天才なんだ。素晴らしすぎました。このへの説明、分析、解説は、下記の2つのラジオで、結構がっちりやっているので、「全部読んだ後」に聞いてもらえると、言っている意味がよくわかると思います。ものすごく複雑なこと言っているので、言葉だけで説明されても、???という感じだと思います。要は一言で言うと、『結界師』素晴らしいよね!と言いたいだけなんですが。


僕が言いたいことは、一つです。時音ねーちゃん、可愛すぎます!


結界師(34) (少年サンデーコミックス)



物語三昧ラジオ/結界師+ベイビーステップ+ハイスコアガール 2013/11/23

この作品を見るときの重要なポイントとして、「主人公のドラマトゥルギー(義守)」と「主軸のドラマトゥルギー(世界を守る+母親守美子)」が、交わっていない、関係ないところにポイントがあると僕は思っています。この世界を眺めるときの特徴として、通常の物語の類型では、この主人公の視点と、物語自体のメインテーマが、一致していないと、「何を言っているのかがわからない」意味不明の物語になりやすい。だから、本来は、ずれてはいけないんです。ところが、それが、非常に関連づけられない形で、物語が描かれている。母親が世界を救うという、ガンギマリの覚悟で、世界をガチで救っちゃうのに対して、主人公も、その兄も、何一つ無力で、意味がない。細かく義守の力が必要とかそういうことではなく、母親の守美子のさんの「自分を犠牲にして世界を守る」という救済プランに対して、何一つ影響力を与えることができなかったという意味で、言っています。

伝わるでしょうか?。要は、この世界を救うという物語のメインテーマに対して、主人公格のキャラクターたちが、全く関われないし、何もできなかった、という物語なんですよ。これ、物語の主軸で、「何が本質か?」と考えると、意味不明になっていますんですよ。


そして、それがどういう効果を、どういう世界を生み出しているか!というのが、この論考というか考えのポイントです。書くのは力尽きたので、ラジオで聞いてください。


この作品は、特にお母さんお扱いは、『うしおととら』に対するアンチテーゼになっているので、これも同時に読んでみて、どう主人公のドラマトゥルギーに対する取り扱いが違うかをよくみてもらえると、興味深いと思います。


うしおととら(1) (少年サンデーコミックス)


Academia

ちなみに、LD教授からの宿題です。このパターンのいい例で、『戦国妖狐』が、あるのではないか!と言っていて、今それを読み直しているそうなので、僕も行きます。

戦国妖狐 1巻 (コミックブレイド)