2024年アメリカ大統領選レポート(7)_ハリスでもトランプでも、アメリカの方向性は既にもう変わらない〜ABCフィラデルフィアの感想

9月11日のハリスさんとトランプさんの第一回(と言っても次はないと思うが・・・)の討論会から3週間ほど経った。本日は、9月28日の土曜日。討論会直後の全米での受け取れらかた、支持率の状況ともに特に変化はない。なので、がっちり五分と5分で、完全に拮抗している感じ。アメリカのニュースそして、だいぶバイアスかかかっているけれども日本のニュースともに、カマラ・ハリスさんのニュースが多い印象がある。またなによりも、全国の世論調査で、2-3ポイント優位を維持し続けている。けれども、この程度の差は、事実上統計誤差であって、構造から考えるとほぼ拮抗していると言っていいと思う。

ABCで9月11日に副大統領カマラ・ハリスと前大統領ドナルド・トランプの初の一騎打ちの討論会。もちろん、英語でフルスピーチ聞いてみようシリーズの一環なので、全部聞いてみました。いろいろ論点はあるが、ニュートラルにみた場合、ハリスの勝利だなと感じます。正確にいうと、ディベートやレスポンス力が低すぎるとの前評判を覆して、ほぼ失点がなかった点が、今回の特徴。何もバイアスなしにみたら、ハリスのイメージが良かった。といいつつ、2016年のサンダース・トランプ現象を前提とする2024年の大統領選挙は、相手の言うことにまともに反応しないで、いかに自分の意見だけを押しつけるかという、ディスコミュニケーションのゲームルールで戦っているので、「嘘も含めた自分の土俵に誘い込んで相手をコケにするトランプさん流のコミュニケーション」に、引き摺り込まれなかったというのが、今回の、ハリスさんの得点。

petronius.hatenablog.com

前嶋和弘先生(上智大教授)のおっしゃる通り、「もしとら、ほぼトラを言う人は嘘つき」「両候補者ともにとても弱い候補」なので、特に優位とは言えない。11月5日の投票日に向けて、オクトーバー・サプライズがないかどうか、残りの一月をドキドキしながら過ごします。

11月の米大統領選に向けた10日夜(日本時間11日午前)のテレビ討論会を受け、前嶋和弘・上智大教授(米国政治外交)は、民主党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領の話が「終始全くかみ合わなかった」と指摘。今回の討論会は「大統領選の行方を変えることはない」とした上で、今後の展望について「大接戦になるだろう」と述べた。

Twitter(X)って、いろいろ言われるけれども、やっぱりざっくり情報を手に入れるには、とても有用なメディアだよなって思う。もちろん取捨選択が必要な玉石混交なのは前提だけど。

このへんの激戦州への各候補のラリーとか、直接どういう情報を発信しているのかが見れるのって、こういうメディアのテクノロジーが発展しなければあり得なかっただろうから。

ちなみに、8月後半の民主党党大会(DNC:カマラハリスが指名されたところ)の後の反応では以下のものが面白かった。ニューズウィークのEvan Bakerさんの記事なんですが、民主党の偽善に対する痛烈な告白として、それはそう思うようなぁと僕もシンパシーを感じる内容だった。

www.newsweek.com

I found myself feeling disenchanted, lost, sad, and alone.

私は幻滅し、途方に暮れ、悲しく、孤独を感じていました。

At first, I naively thought the system was broken. But now I realize, it isn't broken; it's doing what it was designed to do, which is to keep working class people from true representation. That is the point, a feature, not a bug.

最初、私は単純に、このシステムは壊れていると考えました。しかし、今は、壊れているのではなく、労働者階級の人々が真の代表権を得られないようにするという、設計された目的を果たしているだけだと気づきました。それがポイントであり、バグではなく機能なのです。

民主党が金持ちのための党に成り下がってしまって、もう労働者や弱者のための党になってしまって古き良き民主党には戻らないのだ!と叫んでいるように感じるというのは、なるほどの納得。

I'm not going back.

www.youtube.com