妥協を許さない勝利への追及は、正しいのか?〜「♯83勝利への執念」『スマッシュ!』咲香里著より

スマッシュ! 8 (8) (少年マガジンコミックス)スマッシュ! 8 (8) (少年マガジンコミックス)
咲 香里

講談社 2008-04-17
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時々、シゴトを長くしていると、物凄く厳しすぎるほど厳しく、周りから孤立するほど強烈に勝利を、、、勝利だけのすべての価値を考える人材に出会う。


「敵に対して媚を売るような そんなやつが勝ち続けられる訳がない 


勝てない奴は、バドをする資格はない


脆弱な人間は バトミントンをやるな!」


今週のスマッシュ!にでてきた古賀くんは、この手の人間の典型の発想をしていると思う。・・・・物語的には、この手の人格は、自分の思いこみの強さや、柔軟に周りを見れない部分で敗北を喫し、、、自分の足りなさを自覚するというドラマツゥルギーがすぐ透けて見える。


が、それよりも、僕は翔太に凄く感情移入した。というのは、シゴトでこういう人によく出会うのだ。そして、こういう人は、とてつもなく、信じられないほど仕事ができる場合があり、同時に、信じられないほどマッチョで、他人をゴミのように扱って、妥協や弱さを許さない。それは、人格的にいえば、物語的な長いスパンで見れば、確かに弱さだ、と思う。



が、、、、これを、目の前で出会い、直面すると、凄まじい怖さなんだよ。



出会ったことがある人ならばわかるはずだ。身が竦むほど、怖いんだ、こういう人は。いつも思うのは、こういう弱さを排斥する驀進する、人間を人間とも思わない人材に勝利するには、どうすればいいのだろう?って思うのだ。相手に弱さを認めさせるには、それがどんなに論理的におかしな話であっても、まずその相手に勝利しないと、相手は認めない。相手は、勝利以外は、許容しない人間だからだ。



まぁ、答えは、どこまであきらめないで、粘る、しかないんだ。



いいかえれば、信念と自分を信じる強さを試されるんだ、こういう相手には。しかも、信じている信念が、甘く、非合理的なことではダメだ。合理的で、長期戦で確実に効果が出る方法論と、その強烈な恐怖に耐え続けすくみながらもはっきりと対抗し続ける「精神的な強さ」が要求される。


スマッシュ!って、なんというか、論理的には、実はわかりにくいし、物語も凝縮して進むので、その繊細な、精神的な部分での「情熱を持って生きることとはどういうことか?」という部分が、小さな示試合や小さな会話に凝縮されていて、いや、これって人気あるのかな?と不思議に思う。いやポジション的には、人気あるのだろうが、この「切実さ」って、そうとう読み込まないとわかりにくいと思うのだが・・・・でも、たぶんこのマンガは、論理的ではないんだろうな・・・読み方が。その情熱を感じるかどうか、という漫画なんだと思う。 


というか、、、、毎回このテンションを見せられると、作者ってのは、いやー情熱的でパワフルな人なんだろうなーと、心から思う。だって、おかしいもの、この鮮やかな、世界への姿勢は(笑)。でも、こういう人は、人生、苦しいけど、一途でまわりが見えないけれども、鮮やかだろうな、と僕は思う。




鮮やかな人生を、僕も生きたい、と思います。