『ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編』 全作品中これが一番面白かった。

ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編 1 (Gファンタジーコミックス)

この作品・・・このシリーズは素晴らしい作品なので、いろいろ個別に話したいことがあるが、僕個人の習慣として、そして今考えているテーマとしては、圧倒的にこの作品が・・・・「皆殺し編」が素晴らしかった。いままで解決できなかったことが、見事に解決されていく様は、まさに模範解答のようなビルドゥングスロマン。まだマンガ版は、終了していないので、小説版でしか読んでいないんですが、たぶんどれでも問題ないでしょう。これは脚本が優れている作品のようで、メディアミックスが、たぶんどれもそん色ない気がする。軽く見たが、アニメも漫画も小説もどれを見ても、伝えたいことの核心は見事に伝わるもの。異なるメディア媒体にしたからといって、優れてよくなるわけでも、悪くなるわけでもない、珍しい例だ。


ちなみに、僕がなぜこのエピソードを最も好きになるかは、このブログの読者ならば、きっとよく分かると思います。


それは、どうしても解決つかなかった難問を解決する時に手段が、



1)友達を信じる


2)子どもで解決できない時は大人に相談する


3)大人でも解決できない場合には、組織を使って法的に正しい手法で攻める


4)そして、組織間の裏取引を描きながらも、表の正しいプロセスで物事を解決する

まさに、今の現代で「物事を解決する」ならば、これしかないという正統なプロセスを踏んでおり、小さな仲間を信じることが、大人や周りに感染して広がっていき、そしてそれが組織になる。組織同士では、バランスオブパワーで、裏取引されてしまう部分を、裏からも逃げ道をなくしてしまい、「表のプロセス」で物事を解決する。1)から3)に至る素直な王道のステップも、見事ではあるが・・・・それがちゃんと組織の背後にある人間・・・裏の取引部分までちゃんと踏み込んでいるところもさすが・・・。うーん作者素晴らしい。裏ですべてを解決するわけではなく、正しいプロセスを貫くために、裏にまで踏み込む・・・これこそ、近代人の正しい筋の通し方だと思う。


もう、見事!!!一本!!!ととしか言いよういがありません。最初にこれを書いたら、バカみたいな王道のビルドゥングスロマンで、たぶん相手にもされない駄作に思われるでしょう。陳腐過ぎて。しかし、問題編の残酷な結末を並行世界として認識している我々は、このバカみたいな当たり前の「正しさ」がどれほど貴重で、どれほど難しいかを、身にしみて理解しているはずです。僕は本とすかっとしたよこの話は。


ひぐらしのなく頃に解 第三話~皆殺し編~(上) (講談社BOX)