頑固な英国紳士(ジェントルマン)で生涯あろうとした提督

井上成美 (新潮文庫)

読んでいて、本当に空気が読めない、頑固で、いやな人だなー、そばにいたら本当に堅苦しくて嫌だろうなー組織で生きるのは不可能に近いだろうなーという、見事な空気よめなさ感がただようのが最初の数章でも、ビシビシ感じる。日本社会のような、空気読んで何ぼ、の世界で、とてもじゃないけど生き残れない、むちゃくちゃスクエアな人だ。


しかし、「にもかかわらず」彼は、海軍キャリアの頂点である大将まで昇進し、海軍次官の重責までこなしている。



なぜか?。阿川弘之が描くように、そして米内光政が言ったように、帝国海軍という組織が日本最良の組織であった、証左だろうと思う。


単純な話、空気に逆らう正論が「通らない」のがこの国の組織の病であるわけで、逆に、空気に真っ向から逆らって正論を吐き続けて人々に忌み嫌われながらも(笑)、評価されて出世の階段を上がっていけるというのは、海軍がとてもリベラルな組織であったことの証左だと思う。



後、最初の偏屈さを読んでいて、、、ああ、この人は、英国紳士(ジェントルマンシップ)を体現していきたかった人なんだな、ということが痛切にわかる。そしてその価値観に最後の最後までぶれなかった、見事な生き様の人なんだな、、、と。


非常に、おもしろい、これ。まだ読み始めたばかりです。


ただ何となくンわかってきたんだけど、海軍のまともな伝統があるのって、ほんとうにイギリスと日本ぐらいなんですよね。後はアメリカ。というか、日本海軍の伝統は、イギリス海軍の影響というか、伝統を色濃く引き継いでいる。これって、イギリスの海賊とかの時代からの、船長というものに課せられている責任というか、そういうものの伝統をよく知らないと、理解できないことなのかもしれないなーと最近思います。


イギリスの海洋冒険ものとか、そういうの読まないとなー。。。。