『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』  大西 巷一著  最近ドイツの歴史が自分の中でじわじわ熱いです

乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ  : 1 (アクションコミックス)

評価:未完のため未評価
(僕的主観:★★★★4つ)

ほんとうは、2014年のベストとかでランキングを書いて起きたかったんだけれども、気力と体力と時間がなくて(なんもないな、俺…)できなかったんだけれども、長いレヴューや文脈読みとまではいかなくとも、紹介したいなーと思う、というか文脈読みまでもう一歩というような、喉まで出かかっている作品もたくさんあって、せっかくなので、やはり出そうと思って。下記で紹介している英仏百年戦争の傭兵を描いた『ホークウッド』もそうだけれども、この二作品って、ヨーロッパ中世を題材にした二大漫画だよなって思います。どちらもまだ物語が終わっていたいので何とも言えないのだけれども、題材自体がとてもコアだし、このあたりに興味ある人にはお勧めです。どちらも水準を超えた作品なので、見る価値ありです。

ホークウッド (コミックフラッパー)

評価:未完のため未評価
(僕的主観:★★★★4つ)

特に、この『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』は、フス戦争を題材に扱っているのだけれども、ヨーロッパ史におけるプロテスタントカソリック宗教戦争は、僕はとても興味深い題材だと思っているんですが・・・・これは、文脈読みのテーマで見ている「バトルロワイヤルもの」のテーマを考えるときに、まさにそれが実際にあった部分なんですよね。僕はこのバトルロワイヤルモノを、「万人の万人に対する闘争」みたいな言い方で書くんですが、このテーマを歴史的な題材で描くとなると、日本史でいうと、織田信長一向一揆の争いのあたりであり、ヨーロッパ史でいうとドイツの宗教戦争だと思うですよね。作者が意識しているかしていないかはともかく、この辺の歴史題材テーマを、突き詰めると、そのあたりが実は重なってきているように僕は感じています。


ただし『ドロテア−魔女の鉄鎚』もとてもいい題材だったし、ドイツのカソリックプロテスタントではない地元の宗教について扱ったこと、また作者がエンターテイメントになれているのでわかりやすくまとめることができていて、とてもよかったのですが・・・・おしいんですよね、、、。このあたりの歴史テーマの宿命というか、まだまだ「この題材を掘り込んだエンターテイメント」が少ないので、作者も読者も知識がいまいちなんですよね。えっと、作者が勉強が足りないとかそういう意味ではなくて(たぶん作者は相当勉強して知識あると思います)、、、、たとえば、、、2012-14ぐらいにアフリカ系アメリカ人の映画って物凄い充実ぶりなんですよ。『12 Years a Slave』や『大統領の執事の涙』など、物凄い大作傑作が連続して出ているんですね。これって、それまでにたくさんの作品が死屍累々の屍があって、、、たとえば『アミスタッド』とか『グローリー』とか凄い素晴らしい作品だけど、あまり興行成績が振るわなかったんですよね。この題材をどのように扱い、どのあたりが物語性があって、とかそういうことがかなり研究しつくされているエンターテイメントのアーカイブがそろっている状態になって、かつオバマ政権の誕生が起爆剤になって、こういう現象が起きているんだと思うんですね。なので、ドイツの歴史を扱ったテーマをしようとすると、日本では、まだまだアーカイブが足りない状態なんだと思いますよ。


ドロテア−魔女の鉄鎚−(1) (ドラゴンコミックスエイジ)

評価::★★★☆3つ半
(僕的主観:★★★☆3つ半)


ちなみに、僕は、このドイツの歴史には凄い興味があって、本当はヨーロッパ史とともに、どこかでちゃんと勉強したいなと思いがあるんですよ。2014年に、半藤一利さんの「昭和史」の講演録の音声データーを一気通貫で聞いて、昭和史がかなり全体像が理解できて、『風雲児たち』と司馬遼太郎のイメージが接続して、徳川幕府から現代までの歴史がかなり一気通貫で理解できるようになってきたんですね。2014年のこの全体像の獲得というのは僕の中の大きな出来事でした。唯一、このピースで穴が抜けているのは、司馬遼太郎の作品群だけでは、幕末から明治国家建国までの重要なパーツが一つ抜けているんですね。それは、僕は西郷隆盛だと思っているんですが、、、、征韓論をどう評価するか?ということなんですが・・・・言い換えるとね、その後の日本の昭和史前期の大日本帝国の滅亡の種となった(=逆にいうと大日本帝国興隆の基礎となった)周辺諸国との線引き、帝国の領土策定作業における国家戦略が、いったいどこから来て、どういう理由でセットされたのか?を知れば、日本史の近代史は、全体像がほぼピースが埋まるとおもっえいるんです。・・・・話が脱線した、、、今はドイツの歴史だった、、、、

軍靴のバルツァー 1 (BUNCH COMICS)

そんでね、この明治建国の近代国家の形成の時期と、、、300ぐらいあった藩が中央政権に統合して「国家」が生まれていく過程というのは、ドイツの領邦国家が統合して近代国家になっていく過程ととても似ているんですね。『軍靴のバルツァー』の物語を見ていて、、、、アメリカの歴史の映画などを見ていると、1800年代のいわゆる現代の先進国家、西ヨーロッパ、アメリカ、日本の近代国家建国のプロセスはそっくりなんです。そして時期もほぼ重なっているんです。


そうです。やっと、世界史!!!にまで話が広がるいい機会なんですね。近代国家がなぜ生まれてきたのか?、現代の社会がこうあるのはなぜなのか?が、、、、社会経済思想を勉強したことがあるので、理論的な成り立ちはなんとなくわかります。けれども、その具体的なピースや歴史の具体的な部分はピースが埋まっていなかったんです。けれども、日本の近代はかなり埋まりつつあります。経済思想の理論だけでもなく、歴史の事象だけでもなく、物語のレベル(=主観を通して追体験したこと)で血肉となったものも含めて、かなりのところに来ていると思うんですよ。もう歴史が面白くて面白くて、最近たまりません。そこで、、、いまは、アメリカの歴史が優先なので、ヨーロッパの歴史にまでは手を出す時期ではないので、、、、機会があったらヨーロッパに住むことがあればその時にトライすべき時なんだろうと思っていますが、、、、その時に、このドイツの歴史は、相当面白いのではないか?と思いつつあるんですよ。日本と成り立ちが似ているからなんですが・・・。

風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記

『風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記』 小川一水著 世界を作り上げること、ゼロから植民して新しい街をつくることCommentsAdd Startei_taraku
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20081208/p3

そういう文脈で見ると、この小説も凄い面白かったなー。