世界はどこに行くのだろうか?

トランプ氏の外交政策を支える根本的な世界観は、冷戦後の世界において形成された「リベラルな国際秩序」(Liberal International Order)への懐疑です。懐疑というよりも、そんなものはそもそも存在したのかという苛立ちに近い感情でしょう。現に、ロシアはクリミアで、中国は南シナ海でリベラルな国際秩序とは正反対の行動を繰り返しているにもかかわらず、世界にはそれを止めさせる力はないではないかと。そして、リベラルな世界観を声高に主導していた欧州でさえ、100万人規模の難民が押し寄せれば見るも無残に腰砕けではないかと。冷戦後に語られた理想主義は、結局は1920年代のそれに似ていて、本当に世界の平和を守る力はない、平和を守れるのは米国の力だけである。いやむしろ、大国間の平和が保たれれば、辺境に紛争が存在してもかまわないという発想です。

山猫日記
国際政治学者、三浦瑠麗のブログです
http://lullymiura.hatenadiary.jp/entries/2016/05/09


リベラルな国際秩序に対する会議、という表現は、本当に、なんと言うか腑に落ちるものだ。トランプさんの話に限ったことではないが、次の20年の世界はどこにいくのだろう?って、最近つらつらと良く考えます。なんというか、ここ20年ぐらいの方向性は、僕がほぼ認識している世界観のままに進んでいたので、自分の事業の戦略とかも、特に考えなくても、「こうしかない」という方向が見えたんだけれども、最近、かなり不透明になってきている気がするんですよね。なんというか、事業やテクノロジーの方向性はあまり変わらないんだけど、政治の方向性が凄い不透明になってきた。ここ20年は、政治はこうなる!というはっきりした方向性が見えたし、経済に比較して政治のウェイトは低かった気がするんですよね。けど、本格的に、先進国の中産階級が崩壊が始まって、とうとうここまできた、という感じがするんです。もう今までの路線は、通じない、何かのパラダイムシフトが起きたんだって。僕は、どっちかというと、リベラリストなんだなーと思うんですが、なので、ヒラリーさんが大統領になってくれるほうがいいなーと思うんですが、でも現実は、アメリカは、それを求めていないよね、と最近感じるようになって来ました。なぜならば、やっぱり今の路線のままは勘弁してくれ、という感覚が広範に最も大きいボリュームゾーンに共有されている感じがするからです。

1960年代の後半から民主・共和両党は、そのやり方こそ異なるものの、中間層の経済的利益について見て見ぬふりを決め込んできた。

民主党では、1968年にシカゴで開かれた党大会で大混乱が生じたことを受けて作られたマクガバン・フレーザー委員会が、1972年に大統領候補指名のルールを改訂した。これで同党の進路が変わった。新たなルールでは、指名候補を選ぶ代議員の一定の割合を女性や少数民族、若者に割り当てる一方で、働いている男性には割り当てをしなかったのだ。

「あのケネディ家みたいなハーバードやバークレーを出たような連中に我々の党を乗っ取られてなるものか」。米国最大の労働組合連合体AFL-CIO(米国労働総同盟産別会議)の当時のトップはそう言ったが、現実はその懸念の通りになった。


中略


どちらの党にも無視され、グローバル化の悪影響でも割を食ったブルーカラーの白人たちは意気消沈した。米国では史上初めて、白人の平均寿命が短くなっている。

 傷口に塩を塗るかのごとく、白人の貧困層だけはいまだに物笑いの対象になっている。ポリティカル・コレクトネス(政治的な公正さ)のルールからも外されている。くだらないテレビ番組を――例えば「アプレンティス(見習い)」のようなリアリティー番組を――見ながらあれこれ食べて太ってしまうのはこの人たちだ。

ドナルド・トランプ氏は、この「アプレンティス」という番組を介して白人貧困層の前に現れた。自分の考えることをそのまま口にし、人をクビにするヤツがいる、変人かもしれないが表裏のないヤツだ、などと彼らは思った。そのトランプ氏は、ある州の予備選挙で勝利した後、「私は教育のない人が大好きだ」と言った。彼は自分の市場がどこであるかをちゃんと把握している。


米国の実力主義の終焉
2大政党に無視された白人ブルーカラーの悲哀
2016.5.17(火) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46859?utm_content=buffere2d08&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer


なんというか、決して白人貧困層だけじゃないと思うんですよね、そこをコアにしているのは事実だと思うのですが。もう中産階級のメインの人々が、もう勘弁してくれといっている気がします。その状況下で、アメリカで今起きているLGBTのトイレ論争。これってリベラリズムカードをオバマさんが切ってきた感じがするんだけど、ちょっと、、、ほんの半年前ならば、当然にリベラルな意見が正しい!という風に強く効果を発揮するものだろうと思うんですよ。


https://cakes.mu/posts/13027
トランスジェンダーに「トイレを選ぶ権利」はある!…ない??
アメリカはいつも夢見ている
渡辺由佳里

http://www.newsweekjapan.jp/watanabe/2016/01/post-13.php
渡辺由佳里
ベストセラーからアメリカを読む
性転換するわが子を守り通した両親の戦いの記録
2016年01月13日(水)16時00分



けど、もう今の雰囲気は違う感じがします。そう思うとびっくりです。これから、世界は、アメリカはどこへ行くのでしょうか?。とても興味深いです。