評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)
とっても、辛く評価しているんですが、信じられないくらい面白かったです。読むの止まらなかった。ただ、何が面白かったのか?といえば、コアは、高須クリニック院長の高須克弥さんのキャラクター。
先日RIO五輪で、下記の記事を読んだ。例のいきなり寄付したって話を見て、どういう人なんだ?って興味持っていたところ、見つけたんです。
高須院長、五輪ナイジェリア代表支援の裏側
http://dearfootball.net/article/2785
これ読んでいて、物凄く興味がわいたんですね。この人なんなんだ?って。その疑問に答えてくれる本で、いやはや、高須院長、凄い人です。
西原さんの名前は何度も聞いていたんですが、まったく食指というか読んでみたいと思うことがなくて、今回初めて手に取ったんですが、ああ、さすがに有名な人だけあるなという感じの、おもしろさで。特にこの手のエッセイ系のマンガの面白さは、本人のキャラクターが濃ければ濃いほど面白くなるので、物凄い濃い人なんだなーというのは、背景はよくわかりませんが、見ていて感じとれました。
けど、たぶん、僕この人の書くエッセイ漫画的なというか作品は、あまり好みではないだろうなーと思いました。エゴが強すぎて。いや、西原さんが、いやな人だとかでは全然なくて、高須院長との関係を見ていても、とてもいいなぁ、としみじみする感じがするんですが、たぶん、そもそも、物凄い個人的なキャラクターのパワーが強くて、それで人生を驀進して切り開いてきた人なんだろうと思います。僕もエゴが強いタイプなんで、人のことを言えないのですが、ちょっと強すぎて、ひいちゃう。というのは、たぶんスゴイ厳しい状態から、実力とエゴの気合で勝ち残ってきた人であろう臭みが凄いするので、その実体験をベースに、私のやり方は正しい!という強い確信を感じるのです。それが、あまりに強すぎて、うー、これは、いっぱい読んでいると、おなかいっぱいになってしまいそう、と思いました。とても厳しい幼少期から、強い動機と行動力で成功してきた人は、たいていみんなこうなるんですよね。それそのものは、悲惨な(本人のせいではない)子供時代が背景にあって文句が言えるものではないのですが、やっぱり、身も蓋もない確信が、下品に見えてしまう。まぁ、それが世界の一面の真実であるのは、否定できないんですが、そんなめちゃくちゃな世界ばかりじゃないだろう、と、普通の人生を歩んでいる自分には、感じられてしまいます。あっちなみに、びっくりするくらい、高須先生は、上品な感じがするんですよね。やっていることは、さらにめちゃくちゃで、狂っているのに。。。ああいのって、育ちなんだろうなーと、しみじみ思ってしまいました。子供時代に苦労したり、強い動機で酷い環境から人生を切り開いてきた人は、どうしても、ほどほどな感じに考えないし行動しないんですよね。僕は、西原さんの世界観は、身も蓋もなさ過ぎて、否定できないけど、、、なんだか、ああは思いたくないなぁ、と思ってしまいました。まぁ、それは、悪くない子供時代を送った自分の贅沢な考えなのでしょうが…。
とはいえ、この作品が、西原さん独特の臭みが、もしほかの作品にもあるとしたら(この感じでないわけがないと思いますが)、それが凄い薄い感じがします。それは、それ以上に高須先生の存在感が濃すぎるから(笑)。いやはや、これ凄いエッセイ漫画です。僕、高須先生、尊敬しちゃいました。この人、すっげー素晴らしい。
ちなみに、これだけ強い確信がある世界解釈をする人は、何を体験しても、同じように世界をとらえてしまう。彼女の作りだす作品を通しての世界解釈が、すべて同じになってしまうと思うのです。なので、この手の作家は、物語が実は書けないと僕は思います。物語は、エゴを捨て去って、自分による世界解釈を捨て去って、世界そのものを作り、キャラクターの心に他者を見なければならないから、と僕は思っています。なので、彼女のような人が作りだす作風は、どれもエッセイ的な、日記的な、実体験に基づくものになってしまうような気がします。
まぁ、それがめちゃくちゃ面白い系の人なんで、それが悪いって話ではないですけどね。
ただ、やっぱり、僕自身もエゴが強くて、自分の世界解釈が他の人に勝るって人なので、こう、世界はこうなっています!!!と断言されると、いや、そうじゃないのもあるから!といいたくなってしまうので、この人作品は、僕は読むのがつらそうだなー。
下記のエッセイ、これは漫画ではないですね、を読んだのですが、ほぼ同じ内容でしたね。やっぱり漫画のほうが、印象的でうまい!と思うので、漫画をおすすめします。