ROAD TO 2024 - 米国政治を見ていくうえで背景として押さえておきたいことのまとめ-トランプ支持の7400万票の意味を問い続ける必要性(3)

さて、ペトロニウスがなんちゃってアメリカウオッチャーとして、2024年のアメリカ大統領選挙を理解するための「視点」として「定点観測すべき」視点=パースペクティヴを、文脈をまとめているのがこれで3回目です。


ちなみに、これを書いていたのは、2月なんで、もう古くなっている(時がたつのはやいー)けど、思考の履歴を残しておきたくて、掲載します。この3-4月は、シンエヴァ命で、ほかのこと考えられなかった。


基本的に、2020年の選挙は、民主党のバイデンさんがかったので、トランプ支持の7400万票の背景を考察しなければ、次は読み解けないと思っています。これはすなわち、ヒラリーさんが負けて、トランプさんが勝った2016年の選挙の問い、第二次オバマ政権の否定に戻るわけです。この問題意識の文脈が「綿々と生き残り続け、育ち続けている」ことに、このダイナミズムを解くキーがあるはずなので、それを追っていきたい。大手メディアや、グローバルエリートが、傲慢に切って捨てる部分を考察してこそ、意義があると思うので、やはりアメリカの保守について、「それは何か?」と問い続けることになると思います。


■事実かどうかは関係ないことが分かっていない~声が届かなければ、人々は踏みつけられたと感じる

“We are finally heard.”(ようやく声が届いた)

トランプ支持者と話していてよく耳にするフレーズだ。誰も耳を傾けなかった自分たちの声をようやく代弁してくれる大統領が出てきたというのだ。

「メディアは人々の声に十分耳を傾けてこなかった」

その批判が的を射たような出来事が、2016年に起きたブレグジットと、トランプ大統領を誕生させた選挙だ。世界に衝撃を与えたどちらのケースも、主要メディアは予見できなかった。原動力となった地方で暮らす人々の心情を都市に住む記者たちが理解できていなかったことが原因の1つとされている。

トランプ支持者はなぜ熱狂的に支持しているの? とにかく彼らに会い続けた記者が、これからも語り合う理由
トランプ支持者はなぜ熱狂的に支持しているの? とにかく彼らに会い続けた記者が、これからも語り合う理由|NHK取材ノート|note


まずは基本に戻ってみると、上記のマイケルムーアさんの意見が、実に端的に、44代オバマ政権が否定されて、45代トランプ政権に期待したものがなんであるかを言い当てています。選挙を通しての投票の決定打、選挙が終わった後の分析を通しても、「まさにこれ」が言い当てていると思います。

いったい「何の声が届いていない」ということだったのだろうか?。マイケルムーアのトランプ勝利の予測を振り返ってみましょう。

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デトロイトで財界の会合に出席したトランプがフォードの役員たちを前に 「もしメキシコへの工場の移転を進めたら逆輸入される車には35%の関税をかけてやる。 そうすれば誰もフォードの車など買わないぞ」と脅しをかけた。 驚くべき発言だった。 これまでそんなことを言える政治家は民主党にも共和党にも一人もいなかった。 その言葉はミシガンやオハイオペンシルバニアの人々の耳には心地よい歌声のようだった。 オハイオの住民ならその意味がわかるはずだ。 トランプは人々の苦しみに訴えかけている。 そして中間層から追い落とされた人々の多くがトランプを支持している。 彼らはトランプのような震源爆弾が現れるのを待ち望んでいた。 自分たちを隅に追いやった社会に対して爆弾を投げつける時が来るのを待っていた。 11月8日の選挙の日、失業し、家を追い出され、家族にも見捨てられ、車を持っていかれ、 何年も休むことを許されず、最低の医療しか受けられず、 すべてを失った人々の手にたった一つ残ったものは、 1セントもかからないが憲法で保障された投票する権利だ。 彼らは一文無しで家もなく繰り返し踏みつけれてきた。 しかし、11月8日の投票日にはそのすべてに対する仕返しができる。 億万長者も失業者も同じ一票しか持っていない。 そして中間層から脱落者の数は億万長者よりも遥かに多い。 11月8日、すべてを失った人々が投票所に現れ、投票用紙を受け取り、投票箱の前で、 彼らの人生を破滅に追い込んだシステムの全てをひっくり返すことを約束している 候補者の名前にチェックを入れる。 それがドナルド・J・トランプだ。 トランプの勝利は史上最大の"FUCK YOU"になるだろう。

マイケル・ムーアのスピーチ
マイケル・ムーアのスピーチ - データをいろいろ見てみる

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5大湖周辺の白人のワーキングクラスの没落が、投票のキーになって、大統領選を支配しているのですから。ここが難しいのは、この人々は、実は、コアなトランプ支持者であるとかオバマ支持者ではありません。それは、この層が、熱狂的にオバマ支持をして、そのあと、トランプ支持に鞍替えしている。そして、揺れ動いたうえで、バイデンさんに投票しているのがデータからはっきり見えるからです。なので、製造業に従事する5大湖周辺の白人ワーキングクラスの最大イシューは、製造業の空洞化による失職なんです。下記のアメリカンファクトリーというドキュメンタリーも、「この文脈」でぜひとも見てほしいのです。そして、この白人ワーキングクラスは、同時に、グローバル化についていけなかった人々であるのも、わかると思います。この辺の属性は、「かさなっているように見えて」、「それぞれは別の属性」であることも意識しておかなきゃいけないと思う。

1)白人、男性

2)-a石油産業や大手製造業などの重厚長大産業の労働者(共和党支持者)
2)-b金融・ITなどの先端産業にジョブチェンジできなかった人々(民主党に切り捨てられた人々)

3)キリスト教福音派(Evangelical/エヴァンジェリカル

4)白人至上主義者(white supremacy)


まとめちゃうと、こういうプロファイルが浮かび上がってくるんだけど、重要なのは、1)-2)はコンビで、3)と4)は、必ずしもこのセグメントの過半なわけじゃない。だから、是々非々で、オバマ、トランプ、バイデンを行ったり来たりする。


petronius.hatenablog.com


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トランプ大統領を生み出したものが、どのような「構造」だったのか、最近分かりかけている気がする。まさに、ポストトゥルースの新しい情報環境が、アメリカのローカル文脈と接続して、対立や党派性を鋭く大きくしている。


・大手メディア自体が既得権益とともに、グローバル化で「生き残れる」側の党派性を持っていることに無自覚なこと


なにがトランプ現象を支えているかというと、「グローバル化の波に乗ることができる都市部のクラスター」と「グローバル化に乗り損ねて、土地や閉じられた世界に閉じ込められている郊外や田舎クラスター」と、ざっくり二つに分けるときに、大手メディア自体は、グローバル化の正義を信仰して、そこでメリットを享受する組織であるから、「苦しんでいる人々に対してひどく冷淡で切る捨てる態度が露骨である」。上記のNHKの取材がとてもアメリカの二分している世界の違いをよく表しているものなので、ぜひ読んでほしいですが、とにかく大手メディアは、「耳を傾けない」どころか「積極的に切り捨てに加担している」という風に人々は感じている。この根深い不信感が、陰謀論に加担する「そもそも事実を信じない」という姿勢に結びついている。


かなり難しくしているのは、大手のメディアが、総じて通常の意味でのリベラリズムを信奉しているので、「グローバル化に乗り損ねて、土地や閉じられた世界に閉じ込められている郊外や田舎クラスター」について、肯定的に評価することが非常に難しくなってしまいやすい。


なぜならば、これらのクラスターは、


グローバル経済に参加することができない「残された人々」なので、彼らが最後に依拠するコアは、「血と土」になる。このアメリカの場合は、ナショナリズム自国第一主義の展開して、白人至上主義、白人のみの共同体の樹立になりやすい。また、「そこ」までいかなくとも、基本的には、アメリカファースト的な「アンチグローバリズム」を旨とするので、大手メディアの支持母体と真逆になる。だから、大手メディアとしては、彼らに「耳を傾ける」ことすら、構造的に難しい。実際、「白人を優遇せよ!」とか叫ばれたら、いかに背景に深い理由があっても、まったく考慮すらできないのは、メディアからすれば、ちょっとありえない。この倫理道徳を盾にとって、自分に都合が悪いことを隠して逃げる姿勢が、大メディアへの不信を増加させる。これが、ポリティカルコレクトネスが、倫理的に正しくても、嫌悪され拒否されるトレンドを生んでいる。


つまり、


構造的要因:グローバリズムの経済にアクセスできずに取り残された人々の苦しみ

解決の手法:アメリカ人、もしくは白人の特権の復活


背景は、共感理解可能でも、その解決策がワンセットで出てくると、メディアとしては、報道に乗せることすら難しくなってしまう。


なので、グローバリズムの経済にアクセスできずに取り残された人々の苦しみについての原因と、その解決方法を、


自己責任!もしくは、長い間の白人の特権が公平になっただけなので、自分たちの過去の罪があるのだから、我慢しろ、お前が悪いんだという結論になる。


ここで重要なのは、グローバリズムが、それを背後に持つ、IT、金融、先端産業を中心とする政治家(民主党)の癒着利権構造が腐敗していないか、というと、そうではないところが難しい。グローバリズムの「やり方」において、だいぶ問題があるのは事実。また、グローバルのうまみばかりを、高所得層やグローバルエリートが吸収して、そのネガティヴなファクターを、共同体に押し付けて自己責任の視点で、打ち捨ててきたことはまた事実だと思う。「それ=バイデンら民主、共和両党の中道派」に対する不信と怒りは、AOCやバーニーサンダース(民主党最左派)でも、トランピスト(極右)でも、どちらも変わらず既得権益層への、怒りが渦巻いている。癒着利権構造が腐敗は、あきらかに、格差を見ればよくわかる。再分配が全くなされていなければ、金持ちが得をしている構造は明らかだ。


これは、オバマ政権時代から変わっていない構造です。


■ラジオが支配する保守層の世界~Rush Limbaughの死去-Rush Limbaugh Dies at 70; Turned Talk Radio Into a Right-Wing Attack Machine

では、このちょっと「血と土」的なだいぶに閉鎖的かつ差別主義的な「虐げられた人々の声」を、いったい何が、どこが吸収してきたか?を見てみよう。この「血と土」という言い方は、ナチスプロパガンダですが、『バイデン新政権の真の課題は単なる脱トランプではない』(マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1033回))の会田弘継(あいだ ひろつぐ)さんの回を聞いて、衝撃の受けて、気にしているキーワードだ。物凄く端折って言うと、「グローバル化に乗り切れない人々」は、どんどん移動の自由の失って、「狭い折に閉じ込められるように」自由を失っていく。経済的な成長がなければ、その恩恵に浴すことができなければ、自分たちの持った板「既得権益」を維持するため-------いいかえれば、もう最後に残った既得権益として「血」(=この場合は白人至上主義)と「土」(=アメリカファースト的な自国第一ナショナリズム)を主張するしか、「生き残るための手段」がなくなってしまっているのだ。会田さんは、これまで特別だった、アメリカの「ヨーロッパ化」という視点でこの部分を見ようとしている。これは刺激的な視点だ。

アメリカには、世界最大の富が集中し、フロンティアがあり、拡大する中産階級という成長が継続しており、「そこに住む人々」が広く移動の自由を持っていた。ああ、やっぱりここでも機能は、「フロンティア」なのかもなぁ。フロンティアがなければ、成長はないし、機会もない。「今いるところ」を掘り進むしかないので、いつか資源は枯渇する。そして、ナチスドイツへ、、、、。このあたりは、もっと、ヨーロッパ史、WW1-2あたりを勉強したいと思う。うーん課題が多くなるなぁ(笑)。


アメリカで、友人と話しているときに、MSNBCやNYT、CNNのリベラルよりは、激しくて、いったい保守や右翼はどこにいるのかな?というときに、もちろんFOXが上がるんだけど、その前に実は重要な保守の砦があるといわれた。


それは、ラジオだ。それも地方の、ローカルラジオ局。


NYTこのように言っている。

ラッシュリンボーは70歳で死去。 トークラジオを右翼攻撃機に変えた
1,500万人の支持者と、嘲笑、苦情、卑劣な言葉の分裂的なスタイルで、彼はアメリカの保守主義を再形成する力でした。

Rush Limbaugh Dies at 70; Turned Talk Radio Into a Right-Wing Attack Machine
With a following of 15 million and a divisive style of mockery, grievance and denigrating language, he was a force in reshaping American conservatism.


www.nytimes.com

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これ、ラジオ局って、アメリカでは重要なんだよね。特に、これは実感する。僕は、ラジオで毎日日常的に、様々な情報を摂取するには程遠い英語力なので、なかなかできないが、それでも「通勤等に移動で車を使いまくる」というアメリカのライフスタイルからすると、このラジオってのが重要なポジションにあるのは、物凄く良くわかる。ポリティカルコレクトネスの言葉狩りが横行するアメリカ社会で、どんどん大手メディアから、保守的な視点が追放されて、様々なところに分岐して濃縮されてい浮くのですが、僕が見ている限り、大きく2点ある。


一つは、地方のローカルラジオ。もう一つは、キリスト教福音派などのメガチャーチや教会。


これが、保守の牙城になっている。ラッシュリンボー(Rush Limbaugh)は、このシンボルのような人なので、なんちゃってアメリカウオッチャーとしては、覚えておくべき人ではないかと思います。彼は、2020年2月4日連邦議会の一般教書演説の最中にドナルド・トランプ45代大統領より大統領自由勲章を授与されている。この衝撃は、凄かった。大統領自由勲章って、民間が得られる最高の栄誉で、かなり相当のいろものだと思われていた彼が受賞したのには、賛否がものすごかった。日本でいえば、高須克弥さんが、大勲位菊花大綬章受けるとかそんな感じかな。とにかく、めちゃ保守的な人なんですよ。それも、いくらなんでもそれをいっちゃあというような発言に切り込んでいく。フェミニズムや環境活動家が嫌いで、“feminazis”や "Tree hugger"などをよく叫んでいます。人口の12%ぐらいしかいない黒人なんか無視したほうがいいみたいな発言もよくします。ポリティカルコレクトネスをまるで無視の人気ラジオパーソナリティーなんです。それも絶大なシンボルという感じの。

番組が一気に保守派の間で人気を得るようになったのは、米連邦通信委員会FCC)が1987年に、「公平原則」を廃止したことがきっかけだった。1949年に制定された「公平原則」の廃止により、アメリカの放送事業者は異論のある問題について相反する意見を放送する必要がなくなった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは2005年に、公平原則の廃止がきっかけで、「激怒している何百万もの保守派有権者に対して、激しく弁の立つ保守派司会者がマイクを提供するようになった」と書いている。

ラッシュ・リンボー・ショー」は1988年に全国配信されるようになり、2020年までに毎週2700万人の聴取者を獲得していたとされる。

中略

リンボー氏は番組で、新聞に載る容疑者の指名手配写真はどれも、黒人公民権運動指導者ジェシー・ジャクソン師に見えると発言したり、「奴隷制に一番、罪悪感を持たなくていい人種は白人だ。歴史上、白人が奴隷を持っていた時期は最も短いし、その数も少ない」などと発言した。

https://www.bbc.com/japanese/56107437

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www.cnn.co.jp

www.foxnews.com


これ以降は、書く余裕がなかったので、メモとして。


■右翼のタッカーカールソン FOXのアンカーTucker Carlson

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bonafidr.com


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ちなみに、VOXはメディアとしては最も左なので、「その前提」で見てくださいね。いろいろ見たけど、ポジショニングが決まっていて批判したいVOXのまとめが一番わかりやすかった。