『ボクを包む月の光 —ぼく地球次世代編』 日渡早紀著 思い出す傑作『ぼくの地球を守って』

ボクを包む月の光 —ぼく地球次世代編 (3)

近くに漫画のレンタルができるところがあって、久しぶりにまじな休日ということで、漫画やDVDを借りてくる。ああ・・・いいなぁ・・・。ここのところ、全く余裕のない生活を送っていたので、、、。もう7巻まで出ていたんだ・・・ボクタマの続きの作品。


2巻を読み返したんだけれども、この前の『グローバルガーデン』とかもそうだったんだけれども、この作者ゲームのファンタジーに凄くハマっていて、「信じる」という境界のあいまいさを、簡単に飛び越える作品の描いてしまうところがあって、「信じる」ということに物凄く懐疑的な僕は、それだけで「臭み」を感じてしまって、物語力自体はさすがの巨匠だと思うのだが・・・・どうしても「感情移入」しにくくなってしまっていて、、、、特に2巻のもこみち?先生が死んでしまった小学校の時の同級生に会う話とか、、、なんというか、ある一定の会議を超えて「信じる」という部分をそういう風に説明してしまうのは、なんか、、、どうしても違和感を覚えてしまって・・・もちろん人情的に、わかるんだ・・・「信じる」つまりはコミットすることを抜きに世界は語れないので、そういうことの大切さを称揚することは、わかるんだが・・・どうしても、その容易に飛び越える感じが、僕には受け入れがたくて・・・ウルトラ大傑作の『ぼくの地球を守って』であり、とてもとてもリアルタイムで思い入れていた作品だけに、読みたかったのだが・・・どうしても抵抗が抜けなくて、2巻でほおっておいたのだが・・・・いま借りて一気に読んでいて、5巻目だけれども、もちろん、その臭みというのはやり消えなくて、どうしても感情移入にある種の違和感が付きまとってしまうのだが・・・仮にそれがあっても、やっぱりボクタマの持つ人間関係の設定いというのは、破壊的な深みがあるなーと、、、、うなってしまう・・・・木蓮の紫苑の、、、アリスの輪の思いを読んでいると、、、、胸がかきむしられるような切なさを感じる。「みおくる夏」とか、もう凄い詩だったよなーと、、、、ある種この次世代編は、ボクタマの対になっているわけで、紫苑と木蓮の「ありえなかった子供時代」を再度やり直す、メタな構造になっていて、そういう意味では、財力も才能も覚悟もあり、人格的なトラウマさえもきちっと抑え込んでいるいるという、非常に在り難い「めぐまれた家庭環境」で育つわけで・・・そんなに素直に「信じること」が成立していしまう、環境には、、、けっ、と思わないでもない部分はあるが・・・でもやはり数巻読んでいると、、、紫苑のあのやるせない子供時代の残酷な思い出を胸に思い出して、、、、「その対比」だと考えると、、、胸が、ぐっと来る。


『グローバルガーデン』も『宇宙な僕ら!』、『未来のうてな』(いろいろマイナスのこと言っている割に、読んではいるなぁ(苦笑))が、どうしても薄っぺらな感じがしてしまったのは、ぼくたまのように「過去に複雑な体験と関係性を深くく構築した」わけではなくて、その物語の内部でのドラマチックな苦しみを理解して下さい!となると、それを「体験した」わけではなくて「信じてください」となってしまうので、そんなのは、はいれないとはいれないよ・・・・と忌避してしまう。もちろんある種の二重思考なしにすっと信じてしまえば、楽に入れるし、入ってしまえばとても優れた物語だがら楽しめるのだけれども、、、その第一歩が僕にはし難い。個人的には、そこさえクリアする何かを作ってもらえたらなーと思うのだが・・・。でもまぁ、、、ボクタマクラスの凄い作品は、そんなに出会えるものではないし、、、好みの問題とも言えなくはないと思うのだけれども・・・。いや、でも好みではないなぁ、、、僕の評は、最近ほとんど感想の域を出ない個人の主観だけれども、それでも、僕が見ている部分っててのは・・・ある種の境界を越えられるかどうか・・・エンターテイメントと文学性を並立させる作品は、たいていの場合、受け手の境界性や島宇宙性を打ち破る力があって(=言い換えれば、小さなサークルのオナニーで終わる作品は、それ自体の価値は否定できないが、やはり作品としての大きさは小さすぎると思う・・・ましてやこの時代性(=人々が境界を越えて理解し合えない)に置いて)、「それ」をはばむ部分に、僕はいつも「ああ・・・これは駄目だ」とか「嫌いだ・・・」とか思うので、わざわざすべて説明する余裕はないもののは、それが少なくとも外れたことは個人の実感としてはほとんどない。まぁそれくらいに練り込まれた主観だとは思うんだけどなぁ、、、まぁ人に伝わらなきゃただの感想だけどさ。まぁとにかく、数巻読んでくると、過去のボクタマを読んでいる人には、じわってくる作品です。過去の使い方とかは、さすがに物凄くうまい作家さんです。

ぼくの地球を守って (第12巻) (白泉社文庫)