『超弩級少女4946』 2巻 東毅著 「不可能性(選ぶことができない)」の選択を「抱えながら」日常を生きること

超弩級少女4946 / 2 (少年サンデーコミックス)

購入。アマゾンおせーよ、今日届いたよ。店頭に並んでいるけど注文しちゃったので、買えないという苦しい日が数日ありました。

2巻を見て、実はほっとした。というのは、1巻は、かなりアイディア勝負で大きく盛り上げてしまったので、これ、このテンションうまく繋げて「物語る」ことができるのかなーと思っていたんです。が、杞憂でしたね。面白い。うん、はっきりいって面白いよ、普通に(←普通というのは重要。なぜならば僕が偏愛して好きな作家は、すぐ打ち切られてマイナーで終わることおおいんだ(笑))。まだかなり試行錯誤もあるだろうし

うん、、、これは、続くね。くうみちゃんの登場とか、マジでいいよ(←超好きかも・・・この子、絶対この子のトラウマでけーよ(苦笑))。・・・確か増刊か何かのサンデーか何かで連載ですよね?(すみませんどこで連載かはいつも疎いんですよ)。サンデーの日常テイストもちゃんと成分に含まれていて、いいよ、、、、。その媒体系統の「読んでいる人」にあった「普通感」がないと、連載って続かないからね。なんか安心した。この仕掛けならば、深刻に世界の告発と不可能性(不条理でもいい)に一直線に行きたがる作者の性質をうまくくるみながらエンターテイメントできる。特に妹の存在はいいポイントだ。学園生活の日常をうまくはさむと、素晴らしく非日常の不可能性の選択の『重み』が増すんだよ。これまでは『ねぎまる』も『RTEAKE』も平行世界の概念を使わないと日常と非日常の差異をうまく表現できなかったのだけれども、それを普通に呼んで時系列上、違和感なく入れ込むのは、うまいね。

・・・なんというのかなー僕は、同人誌時代のきみまるさんの凄まじいテンションで見ていたんで(ただいま過去の同人誌について記事を書いているんですが超ウルトラ長文になりつつ・・・・まだ掲載できてません(苦笑))、こんなにもサンデーテイストの少年漫画に仕上がっていることに、感心。作者本気だな、、、、本気で少年漫画を目指しているなという気合いが感じます。言いかえれば、「読者層の年齢」や「雑誌の購読者層」に向けてのイメージを維持しながら「言いたいこと」を書こうとしている。はっきりいって、商業誌で書くには制限が多い作家さんだと思う。過去の同人誌のヤバさを考えると(笑)、この人の「書きたいこと」はきっと倫理コードとか(あるのかな?)激しく針が振りきれてると思うので、「だからこそ」少年漫画という読者の制限と商業誌という「枠」というか「制限」があることが非常にいいセーブになっているんだと思う。

とはいえ、過去の同人誌を分析した集約がちゃんと描かれていて、そこも凄くうれしい。2巻で感心したのは、サンデーテイストの「普通に続く日常」(『はじめてのあく』とかああ云う感じでも読めちゃうよ)という、雑誌の読者をひきつける部分と、同人誌時代のきみまるさんが、世界の甘さを徹底して告発して問い続けた「世界はそんなに甘くない!」「不可能な選択肢に挑戦し続けろ」というメッセージが、「普通に続く日常」とバランスよくミックスされていることろ。

読者、あまり深くわかっていないで楽しんでいる人多いと思いますよ、この感じ。けど、もう構造的に、悲惨としか言いようのない「不可能性」をいくつも衛宮まなとマコトの関係性にはセットされていて、大盛りデザートさらにアイスクリームつきみたいなテンコ盛り(笑)なんだよね。だって、人間の魂を食べないと生きていけないとか、人類を守ったら日本が滅びるとか、妖怪を殺す職業の長男なんだけど、敵の妖怪のその親玉がダイダラボッチ(=まな)であるとか、言葉で上げると笑ってしまうほど、悲惨な関係性。つーか、幸せこねーよ、これじゃー(笑)。けど、その「不可能性の選択(=選ぶことのできない二択)」を抱えたまま、日常の話が進む感じは、うん、うまい少年漫画に仕上がっている。このバランスは、プロの仕事だ。本当は、僕らの生きる日常ってのは、こういうものなんだ。悩みなんかいつも解決しない。選択しようのない「選択肢」を抱えたまま、前に突き進むしかないんだ。それをとってもさらっと書いていて、重くないところがいい。


僕、、、なんとなく、この関係性の行き着く先、、、想像できて来ましたよ・・・・・ふふふふふふ鬼畜ですね、この設定。ちゃんと同人誌時代の90年代のテイストと、それの一応の結論を出した00年代を超える脚本構造を意識している。層、うん、こういうのに出会いたかったんだよ、僕は。まだ試行錯誤はあるだろうと思うが、はっきりと「次へのステージ」が意識されている。とてもいい構造です。


それにねーうんうん、、、、巨人が振り回せる武器を「成形できる技術が人類にない」こととか、、、、ふふふふふ、そのSFマインドあふれる、おかしな設定にマジで考える思考ぶりは、うけた。うんうん。なんでだろう、、、話的には、1巻より「日常の関係性方向」へ、ゆっくりにスローダウンしたんですが・・・僕的にはめちゃめちゃ面白かった。なぜだろう・・・?。たぶん何かポイントが隠れてあるはず、、、いま同人誌の記事を書いているので、あれをゆっくり書きながら、考えてみようと思います。うん、楽しみ。次の巻。・・これ、雑誌で買ってもいいかも、、、。センリの登場も、、、、、いいなーーーいいなーーーこの「関係性の告発」たまらないですよ、、、ふふふふふ。いや、マジで、どうなんだろう?。僕が、同人誌を分析しているから凄く言いたいことが伝わってしまうだけなのか、それとも、そもそもよくできているのか。。。。そのへんはわからない。でも、凄く二人の愛の高まりを描いて、そんでいてすぐ「それって嘘の愛だろう!」と告発が入ること(しかもこれ事実だし(笑))うーん、、、すげー好みです。でもなんというのかなーうん、こういうきみまるテイストな「告発」が、少年漫画的なただの恋愛の障害としての「機能」として「どっちとしても読める」ところに、たぶんいい点があるんだろう。作者、このままがんばってほしいです。どうなんだろう?これ、きっと連載でも案外手ごたえあるような気がするんだけど、、、、だって、これめずらしく「この僕」が、連載で読みたいと思わせるテンポがあるもの。まぁなにはともあれ、この人の「ほんとうに書きたいこと」まで書きとおせると、素晴らしい作品になると思います。構造は、とてもとてもいい。あとは、人気を失速させず、雑誌の読者層の心を捉えながら、バランスを保って描き続けられるかどうか、だと思います。ああ・・・いいですねー成長する作家さんを見るのは、読者としてたまりません。ともすれば、『RETAKE』レベルを同人誌で書いてしまうと、もうオリジナルでエンタメの狭間で試行錯誤するのばからしくて、自分の『いいたいこと』だけになってしまうものじゃないですか。それが、、、こうやって、トライするさまを見ると、かっこいいっすね。ぜひぜひみなさん、過去の同人誌とあわせて読んでみましょう。結構、この『先』なにが描こうとしているのか?っ手凄く気になるはずですよ。面白かったです。

PS パンツ国会・・・見たかったです(笑)

超弩級少女4946 1 (少年サンデーコミックス)