『新世界より』 貴志佑介著 典型的な管理社会ものを骨太の物語として描く(3)

新世界より(下) (講談社文庫)

評価:★★★★★5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)


それにしても、スクイーラと奇狼丸のカッコよさはなかった。



呪力・・・・超能力を持った人間が持っていない人間との差別と戦争を起こし、そして世界は滅び、異なる文明のフェイズにはいっていくというプロセスは、SFにはよくあるテーマでほんとうに、よくあるとしか言いようのない展開だった。なのになんでこんなに引き込まれるのかな?と疑いまくりでしたが、最後までこの大分量を一気に読んでしまいました。


超能力を持った、、、には限らないが、異なる文明の中での極端な特権階級、、、たとえば、『風の谷のナウシカ』や『12モンキーズ』のように世界を作り変えてしまった全能の科学者たちのような存在が、世界をまさに遺伝子操作も含めてすべてリ=デザインし直してしまう恐怖は、遺伝子などの神の領域に足を踏み入れつつある我々人類の根源的な恐怖というか不安感を表しているんだなと思います。


そして、、、、、世界のデザインがすべて済んでしまって、まったくことなった文明になってしまった後、そこに住む「われわれ」人類は、どういうふうに感じ、どういうふうに生きるのでしょうねー。うーん、SFの醍醐味を本当に味あわせてくれました。ちなみに、前回挙げなかったけれども、そういえば『猿の惑星』にも似た感慨を感じたなーと思ったのであげておきます。このへんは、見ていないと人生損ですよ、級の面白さです。

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