『7SEEDS』 田村由美著 そうやって人生に差がついていくんだな

7SEEDS 12 (フラワーコミックス)


評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★星4つ)


■世界が滅びた「後」という舞台〜われわれが気付かないものを気づかせてくれる舞台装置
世界が滅びるかもしれない推測に当たり、各国政府が未来に人間の種を残そうとするために実施された「7SEESPROJECTS」。その被験者となった子供たちの物語です。ついに12巻まで来ましたね、僕は「世界が滅びた後」という設定のマンガやSFが非常に好きで、探しまわっています。前にも書きましたが、終末観の世界ですね。この世界設定には、この設定がはらむ数々の可能性があり、僕がらが緩慢な日常によって失っている、「生きることそのもの」というものの意味や「幸せの在り方」を再度読者に突き付ける形式になることが多く、作者の田村由美さんと同じように、僕も、日常の大切なものから目をそらしてしまう状態に反吐が出て告発者になってしまう部分が、とても共感を呼びます。


■小さな目標を細かく立てることで、成長へ結び付ける生活習慣を確立する



人生に細かく目標を設定していますか?


そういうことをする日常とそうでない日常で、人生に大きく差がついていくんですよ。そして、それはなにもないところでしかな、なかなか人は気づけない。



「それで今後について一つ提案があります。

あのさ 毎日 なんか漠然としてて オレとしては気持ち悪いんだよね。」(嵐)


「バクゼン?」(蝉丸)


「うんつまり おれ部活してたからさ いつも目標を細かく立てていたんだよね。


大会に向けるのは当然として それとは別に 


3週間後の目標


3ヵ月後の目標


1年後の目標てのを決めるんだ


そうするといつまでに何をどれだけトレーニングするとか


まぁ勉強もそうだけれども見えやすくて結果を出しやすいんだよね


個人個人の目標は各々が考えたらいいと思うけど 全体の目標ってのがあった方がいいと思う」(嵐)



中略(舞台が変わってナツと蝉丸のみ)


「ナツ おまえもショックだったんだろ目標を立てる・・・・ねぇ そんなヤツほんとにいるんだな・・・

オレなんかいつ以来よ?


小学校? 低学年だぜ夏休みの目標とかよ?


しかもまったく達成せずだ どうせお前もそのクチだろ?」(蝉丸)



「はっはい・・・」(ナツ)


「そうやって 人生差がついていくんだなー」(蝉丸)

夏のBチームは、優秀な遺伝子を残そうとしたこの計画の立案者が、「優秀」なばかりにこだわったら、実はダメなんじゃないか?と問題児どちらかというと引きこもりがちなナツという少女などの「優秀でない」人材を集めた落ちこぼれチームつくった。その中に、嵐という男の子がいて、これは花という別のチームにいる恋人同士なのですが、彼ははっきり語られていないですが、この花を守るために傷害事件を起こしたことがあるらしく、非常に優秀で人柄もよいのだが、Bチームにされてしまっている。

その中での、3人の会話。

世界が滅びてしまったようだということ、自分たちが人類という種を生き残らせるプロジェクトの被験者だったということが分かってきた中で、、、、そんな何もない絶望の中で、仲間(ほかのチーム)とすら会えないような中で、しかも嵐君は、最愛の花に会えないといういつ自殺してもいいような精神的に参っている中で、この提案をします。・・・そして、ただ反発したり逃げているだけで過ごして生きてきた蝉丸とナツは、このことに衝撃を受けます。それは、こういった過酷な状況だからこそ、嵐のような異なる人種と一緒に同じ目的で生活しているからわかったことだが、日常の現代に生きていた時には、知らぬ間に「前へ前へ」進んで信じられないくらい彼とは差がついていったしまったのでしょう。そう、目には見えないけれども、頑張って生きているやつはいる。それも正しい方法論と強い揺るがぬ意志で。


■成功は毎日の習慣化から〜けれど日常に溺れる現代人はそれに気付かない
僕はこの話を読んで、いわゆる成功哲学を書いた成長バッドトリップのナポレオンヒルや、なんといってもコヴィーの『七つの習慣』(リクルートの研修を受けました)を思い出します。アメリカのベンジャミン・フランクリンの日常管理術なんかもそうですが、ようは小さな目標を大きな価値観を組み合わせて、生活の「習慣」というスタイルを継続すことによって、自分の人生を大きく変えてステップアップさせるという考え方です。

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ちなみに、その週の目標とか、年単位の目標って持っていますか?

僕は、もちろんありますし、手帳でも管理してますよ。小さいころから、無味乾燥な日常に耐えられなあったので、自分なりの目標(たとえば好きになった作家の本とその人の言及する著作を何週間以内に全部読む!)とかを立てて、その小さな達成できそうな目的をよすがに、時間にハリを持たせるのです。これを、3カ月少し無理目にやり続け、しかもある大きな目標や自分の価値観とリンクさせると、劇的に結果が出者すくなります。こういう小さな目標を設定しそれをクリアするの数を増やしていくことで、どんどんできることを増やしていく、レベルを上げるというのは、目標思考で生きている人にとっては実にナチュラルで、、、とくにスポーツ選手で大成する人はこの自己管理が徹底している人が多い。これは企業の業績管理や評価基準でもよく用いられる手法なので、経験者は多いと思いますが、これを毎日の習慣や生活スタイルに落とし込む癖がない人は、散漫で漠然な時間を生きることになります。それは、長い時間が経つと越えられない巨大な壁となるんですよ。


■終末を描く物語のモデル

アニメだと宮崎駿の「風の谷のナウシカ」や大友克洋AKIRA」やマンガなら、ひらまつつとむ飛ぶ教室望月峯太郎ドラゴンヘッドさいとうたかを「サバイバル」萩原一至「バスタード」岩原裕二いばらの王」等などあげればきりがない。あの「北斗の拳」も設定は、核戦争後の世界なんですよね。映画でも、名作「ゾンビ」や「28日後」などや「バイオハザード」なんかもこの手の世界観ですね。この終末的世界観というのは、サブカルチャーでは人をひきつけてやまないテーマのようです。

なぜ好きなのか、と問われたら、




1.なぜ、世界が滅びてしまったのか、誰が滅ぼしたのか?という推理小説のようなハードSF的な謎解きの側面


2.そして滅び去った世界という極限状態に取り残される登場人物たちの切迫感と「これしかない」と思いつめた緊張感が、



好きだからです。


http://ameblo.jp/petronius/entry-10001799579.html

終末を描く物語には、二つの方向性があります。それは、上記で書いたように、(1)誰が世界を滅ぼしたのか?とか、寝ぜそこにいるのか?といったマクロの謎と(2)同時に週末の世界にほ織り込まれた主人公たちの「生きる」ことをシンプルに目的とした激し生き方です。これまで日常や現代社会のシステムで覆われていた「生きるということの本質」、また人間の赤裸々な欲望の解放が起きるところで、いったいどうあなたは行きますか?という厳しいサバイバルです。どちらの側面によるかは作者や編集方針によるでしょう。

実際彼女の短編には、テロリストがモチーフでよく出ますしね。ただ、そうした見境のなさ、純粋さ、周りの見えない視野の狭さは、世界が滅びた後のギリギリの環境では、輝きを増します。だって、生きるか死ぬかの世界では、「なんのために生きるか?」「生きるために生きる」というシンプルな問いや原則が、それこそ毎日突きつけられるからです。それは、過酷であると同時に、とても美しい。生物のとしての基本に戻っているからだと思います。普段の日常生活では、逆にそういった「本当に大事なものを」を覆い隠すベールばかりが話題になってしまいがちですが、世界が滅びたあとのような「何もなさ」はそれを切実に思い出させてくれます。

http://ameblo.jp/petronius/entry-10001799579.html


この(2)の側面でいうならば、精神が変調を期待していくその宗教的な絶望感を描いた『SWANSONG』や『ドラゴンヘッド』のような方向性もありますが、サバイバルと生きる実存では、僕が見る限り、昨今の作品の中では田村由美さんの『7SEEDS』がダントツですね。あらゆる展開が織り込まれている。いまマガジンで連載している『エデンの檻』なんかも悪くはない丁寧な作品ですが、田村由美差を読んでいるとほとんど展開が読めてしまうので、もっとぜひ深めてほしいと思う。もっとも、『エデンの檻』の発想の原点は、アメリカのドラマの『LOST』だと思いますがね。


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