海燕さんに教えてもらって、購入。単行本にはない連載時の78Pという大ボリュームが掲載。
しかも、素晴らしいぞ!。たしかに、冗長感はあるが、この話は「この尺を描かなければ」その本質的意図は伝わるまい。絶対にこっちのほうがいい。特に誰かがおっしゃっていたが、アイシャの登場シーンが素晴らしい。マクロの重責を背負うもの(=人の上に立つもの)の『重さ』というものが十全に描かれていて、しかも、それまでの一般兵卒の戦いが延々と描かれることの対比が素晴らしい。
僕が「戦争なるもの」を思うとき、このファイブスター物語がもっとも、現代的な戦争への感覚を表しているなーといつも思います。戦争は悪だし罪だけれども、人間の自由意思を認める限り、個の価値と認める限り、戦争はなくならない。争い競争し、より良き生を求める自由こそ、人類という種の健全さを表すものだからだ。「しかし」、、、という、わかりきった戦争は悪いものだという倫理観をベースにしながら、さらに種という次元で透徹して眺めた後に、その悲惨な、高貴な、惨めな、気高い個々の人生の様を、滑稽なさまを上から眺めながらも、愛しみ、愛すべきものとしてとらえる視点。そういう意味で、一般人の戦争のようなマクロにさらわれていく切なさと、それを司る指導者たちの強烈までに責務の意識など、いやほんと、この物語って、最強だわ。物凄いよ、これ。