『新世界より』 貴志佑介著 典型的な管理社会ものを骨太の物語として描く(1)

新世界より(上) (講談社文庫)

典型的な管理社会もの。エスパーの話があるので、竹宮恵子さんの『地球へ』を思い出す。管理社会ものとしては、栗本薫さんの『レダ』や、ハクスリーの『すばらしい新世界』、オーウェル1984』などを思い出す。いま中巻まで読み終わったが、たぶんSF的に「目新しいアイディア」というのは、ほとんどないだろう。栗本薫の『レダ』のように、少年が世界を知る時の輝き、、、人格が変わって成長していくときの刹那の美しさを描くというのでもないだろう。けど、それにも増して感じる大作の安定感。おもしろい。物凄く面白い。ライトノベルになれている立場からすると、キャラクターがほとんど萌え要素がないのも、逆に重厚感があって、いい小説だ!!と思わせる。いやーずっと気になっていたが読んでいて凄く引き込まれます。この人の他の作品も読んでみたい!と思わせます。