65〜66時間目『僕だけのスーパーマン』&『雪の日の真実』〜ネギまという物語の原点・・・きみはなぜそんなに努力するのですか?

魔法先生ネギま! (8) (講談社コミックス―Shonen magazine comics (3451巻))魔法先生ネギま! (8) (講談社コミックス―Shonen magazine comics (3451巻))
赤松 健

講談社 2004-11-17
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この65〜66時限目が、僕の中で「ネギま」が「ラブひな」を超えた瞬間でした。読んでいてのた打ち回ったのを覚えています(笑)。この記事も再掲ですが、ネギまを読む時に原点の中の原点で、ここをしっかり押さえないと、あらゆる彼のその後の行動が意味不明になってしまったり、ご都合主義すぎていやになってりしてしまうので、重要だと思うので、僕は自分の記事ですが、何度も読み返しています。物語にも、抑えるべきーキーというものがあって、そこを見抜けば、すべての複雑な構造にある種の秩序を与えることができるので、自分なりにその物語は「どんな物語か?」のキーを抑えておくととても読むのが深くなります。ビジネスでいうKSFですね。ちなみに、僕は何度も書いていますが、1〜2巻を初めて読んだ時に、こんなだ作もうよめねーと、1年ぐらい打ち捨てていたんです。それが、何となく読み直して、あれっ?って思い、、、そしてこの8巻を読んで、ああっこれは傑作だ、と唸りました。それにこの展開がきちっと進むのならば、ラブひなを超えたな、と思ったんです。


「それがどうした!!」


とか、突っ込まないでください(笑)。別に、いいじゃないですか、大好きなんだから・・・・・(汗)。好きなものは好きなんですよ。ネギまは、超一流とか、歴史に残る!とかは、僕もいえません。どちらかというと、連載が終われば、それなりに読者はいても、忘れ去られていく大衆作品だろうと思います。けれど、このマンガに込められた技術や脚本は、同時代の最高峰の最前線に立つもので、ある種の漫画の技術の行き着いた、といっても過言ではないものです。そういう物語に、リアルタイムに出会えた、というのは僕はとっても嬉しいです。




「良い物語」の定義を、皆さんどう考えますか??

ちなみに、究極の基準は、スキか嫌いか、よいか悪いかであって、それいがはないと思いますが、僕自身の基準というのは、質を測る上での基準のひとつに、



登場人物(キャラクター)の動機調達が、しっかり描かれているか?



と、いうのがあります。動機調達、というのは、そのキャラクターの「行動を支えている真の原因みたいなもの」です。あれです、たとえば、子どもの頃に親に殴るけるされたいたので、「死ぬほど暴力が嫌いになって、マザーテレサガンジーみたいになった」とか「暴力でしか愛を実感できなくなって、次々に出会う人に暴力を振るうようになった」でも、どちらも人間の動機を説明しています。


僕のブログは、基本的に、「人間の動機の構造はどうなっているか?」「その動機はどこへ向かうのか?」「その動機はどこから来たのか?」といった動機をめぐる話が、その議論のほとんど前提にあります。それが漫画であろうが、ビジネスであろうが、建築であろうが、同じです。僕の人生を貫くテーマといえるのだと思います。いつもこの話をしているので、ああーペトロニウスは、あーいう話が好きなんだなーと思っていただけると幸いです。


さて例えば、僕の好きなマンガ『ゴットハンド輝』は、あるドジでマヌケで不器用な(笑)外科医の真東輝の医師としての成長を描いたマンガです。

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彼が、なぜ医師を目指すのか?



なぜ、普段はドジなのに、生命の危険を感じると、凄まじい集中力が出るのか?は、ネタバレ(といって1巻の最初に出てきますが)ですが、幼い頃、飛行機事故で、唯一の生存者であり、世界的な医師であった父親に助けられた(父は目の前で死亡)。そして、救出されるまでの数十時間、まだ息があった自分より小さい子どもが、自分の腕の中でだんだん冷たく固くなっているのを、感じ続けて生命の消え行く瞬間と、どうにもならない無力感を、強烈なトラウマとして幼い胸に叩き込んだからです。ちなみにこの辺の幼児の原体験による動機説明は、天才を描く作家、曽田正人さんが一番いいいかも???です。



話がそれましたが、ネギまの主人公ネギ・スプリングフィールドは、10歳の少年です。



31人の中学生女子クラスメイトとの「永遠の楽園」(笑)というヲタクの秘孔を突く萌え萌え設定に対して、ヘンに下品にならずに(過度のHシーンは、逆に萌えを半減させると、僕は分析する(笑)←どーでもいいっちゅーーねん)するために、唯一の男性であるネギを10歳にしたのだと思います。まだ出生の秘密が明らかでないので、もしかしたら、ネギ君が成長した頃の話!もあるかもしれませんが、それは本論とズれるので、置いておいて・・・・・・・・・・・


ネギのキャラクター属性を考えると、


・10歳で大学卒業・中学の英語教師免状レベルの学力を持ち、学位を取得している


・ほんの数ヶ月で、世界レベルの中国拳法を見につける武術の才気


・精神的に子どもであるにもかかわらず、生徒たちの悩みもおもかんばる精神的な成熟


そして

・10歳でありがながら、上記のこと(凄まじい緊張と訓練・集中力が継続しているはず)を、殺されかけても、やりぬく覚悟と根性(実際に、なんども死にかけています・・・・そりゃー7巻でアスナが泣くはずだよ)


これらを、10歳ですよ!!!!。



10歳!!!!!!!!!!!!。



ありえねーよ!!!(笑)(千雨風)




と、思うじゃないですか。


だから僕のような動機を知りたいと思う人にとっては、、なぜ10歳の少年が、ココまで追い詰められないといけないのかが、理解に苦しみます。もちろん、物語のご都合主義です!、といえば以上(笑)なんですが、でもさーやっぱ赤松作品クラスだと、期待しちゃうじゃーないですか。ましてや、血の宿命というハリーポッタ風のパロディが味付けされていること間違いナシの、この作品、「ここ」こそが、作品の価値と深みを決めるキーになると思っていたんですよ、僕わ。




ネギくんの、強い目的意識がどこから来るのか?





これに強い説得力を持たせることに成功すれば、すべての属性は正当化されうるし、そもそも佐々木まき絵やのどか、ゆえっちが、彼の(10歳の子どもを!)好きになるのも、それはネギ君が、普通の男性(僕らでさえ!)持っていない、強い目的意識に貫かれて行動する男性!!であるという部分から出こそあるので、そうすると、あ〜ら不思議萌えの基本である「なんとなく薄っすらラブな関係」も、ご都合主義の恋愛関係のシーンも、非常に納得がいく(笑)ことになります。さて、ネギ・スプリングフィールドくんを支える強い目的意識は、何から来るのか?



これが、この作品の質を決めるキーである


と僕は考えましたが、



それは、



・両親のいない(最愛の姉とは離れて暮す)寂しい幼少時代を送っている/両親とも不在


・父親が、魔法世界で知らぬもののいない名声のあるサウザンドマスターで、その後継者


・何らかの理由で襲われて、住んでいた村後と焼き払われ周りの人間は全員死亡(石化だが)


そして、なによりも、


自分が「父親に会いたいという」気持ちが、他の人を傷つける結果を招いたという強烈な贖罪意識をもち、



圧倒的な戦闘力を持つ化け物に襲われた恐怖感(まわりの知り合いは皆殺し)が刷り込まれ



大好きな姉も守れなかった・・・・・という喪失感まであるのです。



・・・・これが、彼をして戦闘のプロへと進ませる、最大の動機になっています(いまのところ)。






こうみると、この重荷を、10歳ですよ!!!!


10歳の少年が背負っているんですよ!!!!!!!!!!!







やべー涙でそう(笑)。




その全てを助けてくれた、圧倒的な存在であるサウザンドマスターに追いつこうそして、雪の日の恐怖から逃げるために、逃げ切れるだけの戦闘力を身につけよう!!!と、彼が強烈な恐怖感と贖罪意識で『思い詰める』のも、理解できます。


ふぅ。いやーーーー力説しました(笑)。


なんか、もういわずもがな、な話ですが、いちおう基本に戻るということで、再確認してみました。


魔法先生ネギま! 22 (22) (少年マガジンコミックス)魔法先生ネギま! 22 (22) (少年マガジンコミックス)
赤松 健

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