病めるアメリカを観る

『世界にひとつのプレイブック』2012 USA(Silver Linings Playbook) デヴィッド・O・ラッセル監督  見ていて痛くなる映画なのだが、ラストがぶっ飛ぶほどのハッピーエンド

客観評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ)どんな映画か?と言ったら、シャルウィダンスみたいな話、と喝破していた町山智浩さんに一票!。ちなみに、コメディーには全く思えない(苦笑)。崩壊寸前の家庭、崩壊しちゃった家庭、人生のオンパレード。それで…

フォレストガンプと大統領の執事の涙を同時に見よう!

先日、町山智浩さんの映画塾を聞いていて、フォレストガンプの評価がとても興味深かったので、お勧めです。フォレストガンプのモヤモヤしていたところが、すべて取り払われたような気がして、とても面白かった。 1950年代:順応主義・コンフォーミズムの…

『グローリー/明日への行進』(原題: Selma・2014)Ava Marie DuVernay監督  偉人すぎるキング牧師の実像に踏み込み、米国の今を告発する作品

客観評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ) ■見るべきポイント-1〜ジム・クロウ法の具体的な運営方法まず最初のシーンに、強いセンスオブワンダーを感じた。というのは、ある黒人の女性が正装して、強い意志をもって、公的機関の窓口に出向き、延々と、ア…

『42 世界を変えた男』(2013 USA) ブライアン・ヘルゲランド(Brian Helgeland)監督  暴力ではなく、耐えることによって共感を生み、世界を変えていく戦略

客観評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)アフリカ系アメリカンの素晴らしい映画が、オバマ大統領の登場以後、頻出している。そこを注目すると、アメリカの動きが強く感じられる。なので、探しては見るようにしているのだが、町山智彦さんのラジオでの紹…

銃の事件が起きる場所や被害者によって、議論の大きさが違うんだよね。

あらためてアメリカは深い分裂の中にあるのです。例えば2017年10月のラスベガスの事件では、中西部で人気のカントリー音楽のコンサートが襲撃されたということから、被害者や遺族のほとんどが銃保有派であり、そのために銃規制論は活発化しませんでした。中…

フィギュアスケートの世界は、ほんとうにいいねぇ。

オリンピックの応援でわかる国際感覚の変化 アメリカはいつも夢見ている 渡辺由佳里 https://cakes.mu/posts/19816国際感覚がだいぶ変化した、というのは、とても僕も思います。特に、フィギュアスケートの世界のなんというか多国籍ぶりというか、その姿勢は…

アメリカ南部・バージニア州のシャーロッツビル(Charlottesville)事件のメモ

Unite The Right Torchlit March Towards Lee Park Through Charlottesville, VA ほぼ100%白人男性の右翼が集結。分断が進むアメリカ|渡辺由佳里 @YukariWatanabe |アメリカはいつも夢見ている https://t.co/judvlR3VZ5— 渡辺由佳里 YukariWatanabe (@Yuka…

アメリカ南部・バージニア州のシャーロッツビル(Charlottesville)事件のメモ その2

したがって、大統領への批判の中心にあるのは、トランプ氏が拘ったどっちもどっち論と言うことになります。思うに、このどっちもどっち論は、①現在の差別主義者への態度、②歴史を現在の価値観で裁くことの是非、そして、③法と秩序を維持する責任、の3点につ…

『ムーンライト(英: Moonlight)』(USA 2016年)  Barry Jenkins監督 アメリカのリベラルな社会の最前線〜アメリカ的な文脈で、黒人で、貧困層で、ゲイであるマイノリティとはどういうことか?

評価:★★★★4星つ (僕的主観:★★★☆3つ半)■アメリカのリベラルな社会の最前線〜アメリカ的な文脈で、黒人で、貧困層で、ゲイであるマイノリティとはどういうことか?第89回アカデミー賞作品賞受賞作品。とはいえ、個人の感想としては、面白くなかった。確…

『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(英題:Jackie)』(2016 USA)Pablo Larraín監督 キャメロットという夢の日々〜理想主義は結局、何ももたらさない不安がある

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ) ■物語としては面白くないが、映画の完成度は高い 一言でいうと、物語として面白くない。しかし、映画としての完成度は高い。第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ、いわゆるJFKの業績…

ドナルド・トランプとは何者なのか?

最近、ドナルド・トランプ現象の本質は何なのだろう?とつらつら考えています。 2015-16年の大統領選挙の頃アメリカにいた時に様々な人と話していて、また自分自身の分析からも、ほぼトランプさんが大統領になるのじゃないか?ということを、かなり最初から…

リベラルな規範が「弱者」の立場に依存して人を攻撃を生み出していることに、リベラル派が無自覚なことが問題の根本

A former journalist allegedly carried out at least some of the recent bomb threats against Jewish institutions across the country, according to the FBI, which described the menacing calls as part of the man’s campaign to harass a woman.Law…

ヒルビリーに共感を!

こうしたアウトローの感覚は、少なくともフィクションの上でなら、その愛好者を心強くさせることがある。そして、まるで中毒のように「こうした種類の心強さ」をつねに求めていたのが、近年の米ポピュラー文化界だった。 まずはTVドラマ、ここ日本でもよく知…

レーガン大統領と中曽根首相を思い出します。

Heading to Joint Base Andrews on #MarineOne with Prime Minister Shinzō earlier today. pic.twitter.com/4JFhyYdeHO— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年2月10日こういうのを見ると、レーガン大統領と中曽根首相をとても連想します。ちゅーか、…

‘Calexit’ って初めて聞いたよ(笑)。まぁ、カリフォルニア共和国独立の話は、ずっとある話ですけどね。

‘Calexit’ Organizers Can Start Collecting Signatures to Get Secession Initiative on Ballot http://www.latimes.com/politics/essential/la-pol-ca-essential-politics-updates-coming-to-a-clipboard-near-you-1485483444-htmlstory.htmlカリフォルニ…

国民国家の巻き返しを行うというアメリカ発の革命的な運動

2 Iraqis who had visas to enter US sue Trump and US govt. after arriving in NY and being detained due to travel ban https://t.co/nC3mO91I2i pic.twitter.com/eETR2nmBO1— CNN Breaking News (@cnnbrk) 2017年1月28日いやはや見ていて驚きます。何が…

多様性の尊重から共通性の尊重への文脈の変化

ドナルド・トランプ大統領の登場は、ブリクジットと並び、歴史の表象であって、決してただ単に馬鹿にしたり批判したり嫌悪したりしていればいいものではないと思う。ちなみに、政治学者の三浦さんのブログをいつも興味深く見ているのだけれども、トランプ政…

Donald Trump's entire inaugural address(2017.1.20)

Donald Trump's entire inaugural address (Full Speech)恒例の大事なスピーチや出来事は、ちゃんと全部聞いて、全部で見てみよう!ってやつです。White Houseのinagurationは、生中継されていましたよね。 歴史の大転換期だという気がして、僕は全部見ちゃ…

ジョン・グレン氏死去。ご冥福をお祈りします。

We are saddened by the loss of Sen. John Glenn, the first American to orbit Earth. A true American hero. Godspeed, John Glenn. Ad astra. pic.twitter.com/89idi9r1NB— NASA (@NASA) 2016年12月8日ジョン・グレン氏死去。「ライトスタッフ」の一人で…

アメリカは、共和党(資本主義と自己責任を最重視する)を選んだのだ、ということを理解すべきなんだな、と思う今日この頃。

「次の大統領選で、アメリカが普通の国になるのかどうかがわかる」 http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/201211084年前に書いた「次の大統領選で、アメリカが普通の国になるのかどうかがわかる」というエントリ。そして今年、やっぱりアメリカは「うちは普通の国…

暮らしがよくならない絶望はとてもよくわかる。

Malzberg | Asra Q. Nomani discusses supporting Trump as a Muslim-American woman Asra Q. Nomani is a former Wall Street Journal reporter and a co-founder of the Muslim Reform Movement. She can be found on Twitter at @AsraNomani.A lot is bei…

アメリカは、共和党を選んだんですね。

「潮が引いた時、誰が裸で泳いでいたかが分かる」。著名投資家ウォーレン・バフェット氏の格言だ。大統領選投票日の夜にオバマ人気の潮が引いた時、そこにいたのは構造的な欠陥を丸出しにした民主党だった。 バラク・オバマ大統領は2度の大統領選で余裕を持…

ヒラリーの敗北宣言スピーチがとても素晴らしかった・・・・・が、スピーチがうますぎたのが敗因じゃないかと、ふと思った。

Hillary Clinton full concession speech【アメリカ大統領選挙】ヒラリーの敗北宣言スピーチが完璧すぎて、鳥肌がたった。【ざっくり訳つき】 http://mikachanko.hatenablog.com/entry/2016/11/10/043149?utm_content=bufferf4341&utm_medium=social&utm_sou…

なんだかアップルシードを思い出したよ。この設定のアメリカって、2つに分断されて別の国になっているんだよね。

ふと思い出した。アップルシードの設定では、アメリカは二つの国分裂しているんだよね。うろ覚えだけど、確かそうだった気がする。士郎政宗さんって、スゴイよなーとしみじみ思った。世界の民主主義国の中で亀裂が高まる現状を見ると、この辺でもう一度国家…

『暴言王トランプがハイジャックした大統領選、やじうま観戦記』 渡辺由佳里 著 2016年のアメリカ大統領選を理解する導入テキストとして最高!

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★★★5つ)https://cakes.mu/creators/617こんにちわ。最近、社畜ぶりに磨きがかかっているペトロニウスです。既に最近の1か月は1日も休んでいません(苦笑)。ほとんど寝れていないので、風邪も治りませんので、ちょっと…

アメリカ人は、カラオケですぐみんなで歌い始めます。

米国人すげぇなって素直に感心したのは、タイムズスクエアでイスラム教を糾弾するキリスト教原理主義の牧師に対して、一人の男性が「All You Need Is Love(愛こそすべて)」を歌い始め最後、周囲も含め大合唱が始まった瞬間。 pic.twitter.com/GISexTfy2f— か…

『Zootopia ズートピア』(2016米国) 監督 Byron Howard Rich Moore 現代アメリカのリベラリズムの到達地点とオバマ政権への反動への警鐘

評価:★★★★★星5つマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 素晴らしいとは聞いていたけれども、飛行機の中で見たのですが、最初の10分ぐらいで号泣していました(笑)。僕は、届かない理想に全力で頑張る姿が、とても胸に来るようなんですね。この作品を…

FULL: Hillary Clinton HISTORIC VICTORY SPEECH California Primary Night Event (6-7-16)

いいスピーチだなぁ。アメリカ史を勉強している時に、自分は多分GOP(共和党)支持者になるんだろうなぁ、理念的にとずっと思っていたんですが、これまでの候補者のスピーチをずっとちゃんと聞き続けると、もう圧倒的にヒラリーさんのものに感動するんですよ…

Donald Trump's Full Speech on Foreign Policy in Washington, DC (4-27-16)

Donald Trump's Full Speech on Foreign Policy in Washington, DC (4-27-16) Trump on Foreign Policy http://nationalinterest.org/feature/trump-foreign-policy-15960America First、あるいはAmerican Interestというのは、とても興味深い。国益に帰れ、…

世界はどこに行くのだろうか?

トランプ氏の外交政策を支える根本的な世界観は、冷戦後の世界において形成された「リベラルな国際秩序」(Liberal International Order)への懐疑です。懐疑というよりも、そんなものはそもそも存在したのかという苛立ちに近い感情でしょう。現に、ロシアは…